相愛smell
□9話
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貴方side
「..........え......?」
私の聞き間違いかと、轟くんの方に振り返ろうとしたら
それより前に、さっきよりキツく抱きしめられる。
首元に、轟くんの顔が埋められて
雨に打たれて冷えた体にまた、熱が集まる。
「........っ.....あ、あの......。」
轟「..........好きだ。
......俺も、香野のこと......好きだ。」
耳元で発せられた言葉は、今度こそ
間違いなく聞き間違いではないと私を期待させる。
轟くんの吐息がわずかにかかって
今までに経験したことの無い、甘い雰囲気に
文字通り、動揺する。
果たして、どの雰囲気が“恋すること”に当てはまるのか。
私はそれを、多分、今やっと知った。
轟「......香野の言った“好き”と、同じ意味だと思ってる。
.......もし違うなら......。」
「...........おなじ、です......。」
きっと、どれを取っても
...........“恋”なんだろう。
「.........同じ、“好き”だと...思います........///」
轟「..........そうか......!」
「...........!!」
嬉しそうに笑った轟くんの横顔に
かっこいい
と、素直に、1番に、そう思った。
さっきまでの、自分の足元を見て落ち込んでいた時間のことなんて
もう...すっかり、忘れてしまっていた。
ただ、この目の前にいる“運命の相手”から
一緒になって、雨に濡れている轟くんから
ずっと、目が離せないだけ。
轟「......香野。
...もう1回。.......ちゃんと言っていいか?」
そう言って轟くんは
私を抱きしめていた手をそっと離して、向き合った。
「......??..........うん。」
何を言うのか分からなかった私は
少し身長差のある轟くんの顔を見上げる。
わずかに頬を赤く染めて、彼が言った言葉は
轟「...香野、好きだ。
.........俺と、付き合ってほしい。」
..........私が待っていた言葉だった。
待っていた...期待していた...聞きたかった。
私にだけ言ってほしかった言葉は
いざ聞いてみると、少し恥ずかしい。
今まで告白してくれた人はいたのに
どうしても、違う言葉のようにすら感じる。
返事がしたい。
私の想いも......伝えたい。
「................はい。
......私も......轟くんのことが、好きです。」