コースター//(カレー)
□7.
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縞がきょと、とこちらを見て聞いてくるので僕はなんでもないと言い、自分のぶんのカレーを食べる。
甘口は味が薄いような物足りないような味がすると思っていたがそんなことはなく、普通に美味しかった。
「甘口も甘口なりに美味しいんだ」
「おう!」
僕が呟くと縞は何が楽しいのか、愉快そうに笑った。
「……」
縞が笑うのを見ていると、大事なのは今だと、そう思わせてくれる。
ああ、そういうところが好きだなあと、僕は思った。
プリンを買うために、わざわざまた1000円持って外に出た。
大好きな縞に甘すぎる自分に涙が出そうだ。でも、食べながらまたにこにこ笑ってくれるのだろうかと思うと、それはそれで魅力的だった。
「にしても家なんか買って、この街に、住むの?」
坂道を下りながら僕が聞いてみると、拠点とのこと。
「はぁ」
「支部です」
「はあ」
僕は空を見上げる。
曇っているけど、もう少しで星が見えそうな、そういう天気。
電柱があたりを淡くオレンジにしていて、なんだかそれは縞みたいだった。
髪の毛がときどき、光の加減でそう見えるのだが、染めているのか、地毛なのか。でも、きれいだ。