パラレルワールド

□第3話
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名前と一緒にこっちのななのことを調べてあの部屋に帰った。
一人であの部屋にいるのは、寂しかったけどそうも言ってられない。

翌朝、私は乃木坂の西野七瀬として仕事をする為に準備をしていた。
10時にマネージャーさんが迎えに来るらしい。
現地集合だったらテンパってたと思うので、正直ありがたかった。

9時50分前にマンションの前へ
(私は乃木坂の西野七瀬、私は乃木坂の西野七瀬・・・・・)
自分に言い聞かせようとするが、10時という時間が迫るにつれて心臓の鼓動がどんどん早くなる。
(ウチにできるかな?いや、これはウチがやらないと・・・・・)
そう考えているうちに車が止まった。
(これかな?)

中から男性が顔を出して、声をかけた。
「おはよう。じゃあ、ラジオ局まで行くから早く乗って」
「お、おはようございます」
私はマネージャーの車に乗り込んだ。

行く途中、マネージャーさんが色々と話しかけてくれたけど緊張で頭に入ってこなかった。
適当な相槌を打ってたと思う。

ラジオ局について、楽屋に案内されるとそこには既に乃木坂のメンバーがいた。
「なぁちゃん、おはよう」
まいやんこと、白石麻衣ちゃんが私を見て挨拶してくれる。
「お、おはようござます。」
「どうしたの?急に敬語なんか使って」
(し、しまった、同じメンバーなのについ敬語が)

「そ、そう?たまにはええやん」
「変なのw」

(ご、ごまかせたかな)

「西野さん、おはようございます。」
同じく、楽屋にいた寺田蘭世ちゃんにも挨拶される。
「おはよう」

私はそのまま空いている椅子に座って出番を待つ。

そうすると白石さんが私に声をかけてきた
「そうだ、なぁちゃん、蘭世。私、今日この仕事だけなんだけど。皆でこの後予定ないならご飯行かない?」
「あ、私もこの後何もないので行きましょう!!」
「なぁちゃんは?なぁちゃん聞いてる?」
「西野さん?」

「え?私??あ、ご飯ね。私もこの後何もないよ」
(そっか、ここではなぁちゃんって呼ばれるんだっけ)

いつもは七瀬と呼ばれることが多く、なぁちゃんというニックネームに慣れない私は反応が遅れてしまった。

「なぁちゃん、今日はなんか変だよ?」
「大丈夫、大丈夫やから」
「西野さん、体調悪いんですか?」
「そんなことないよ?ちょっと考え事してて、ごめんな」

心臓のバクバクが止まらない。
そして・・・・・

「収録本番が始まります。乃木坂46の皆さんお願いします。」

ついに乃木坂の西野七瀬として呼ばれた。

ラジオ番組のパーソナリティの第一声からラジオの収録が始まる。

「今日のゲストは乃木坂46の皆さんです!!」

「「「よろしくお願いしま〜す」」」

「新曲、すごい人気ですよね。PVもすごく素敵だし。西野さんPV撮影とかで苦労されたこととか何かエピソードないですか?」

「え?エピソード?えっと・・・・・、あの・・・・・」
(え?PV撮影のエピソード??そんなん、わからへん!!)
パーソナリティの人に話を振られて頭が真っ白になってしまった。

「PV撮影の時って、実は・・・・・」
とっさに白石さんが話をフォローしてくれて何とか番組が進む。

「リスナーからの質問です。「私もアイドルになりたいという夢を持ってます。今からできることってどんなことがありますか?」 西野さん、彼女にアドバイスとか無いかな?」
「え?アイドルになるには? え、その・・・・・」
「やっぱり・・・・・」
ここでも白石さんがフォローしてくれた。

そして、収録が終わった。

「「「ありがとうございました。」」」
関係者に挨拶をして、楽屋に戻った。

そこで・・・・・

「なぁちゃん、どうしたの?何か今日おかしいよ?」
白石さんに問い詰められる。
「ごめんなさい、ごめんなさい。」
謝ることしかできない私。

「何か悩み事でもあるの?とりあえず、ご飯でも食べながら話そうか」
「ごめんなさい、私、行けません」

そう言って私は楽屋をラジオ局を飛び出した。

(やっぱり、ななには無理や。こっちのななの代わりなんかできへん!!)
私は、ラジオ局の前でタクシーを拾って飛び乗り名前の家へ向かった。


休日を部屋で過ごしてた俺の携帯が鳴る。
電話を掛けてきたのは、七瀬ちゃん。
『もしもし、七瀬ちゃん?』
「うっ・・・うぅ・・・」
(泣いてる?)
『七瀬ちゃん、どうしたの?』
「やっぱ、ウチには無理や・・・・・」
『何かあったの?』
「名前・・・・・会いたい」
『わ、分かった。家にいるから。ね?落ち着いて?』
「ありがとう・・・・・」

そういうと電話が切れた。

しばらくして、部屋のチャイムが鳴る。
ドアを開けるとそこには泣いている七瀬ちゃんがいた。
「名前・・・・・、やっぱりウチにはできへん」
そういうと七瀬ちゃんは俺に抱き着いて泣き始めた。
『どうしたの?七瀬ちゃん、何があったの?』
「あんな・・・・・、今日の収録で」

七瀬ちゃんが話し始めると別の声が聞こえた。」
「ちょっと、なぁちゃん!これはどういうこと!?」

声のほうを見ると乃木坂の白石麻衣がそこに仁王立ちしていた。
「様子がおかしいから、追いかけてみれば男の人の家に!!私たちの仕事何なのかわかってるの!?」
『白石さん、これには事情が』
「悪いけど、アンタには用はないの。私、なぁちゃんと喋ってるのよ。後、さっさと離れなさいよ」
「白石さん、違うの。名前は悪くないの」
「どう考えたって、悪くないことは無いでしょ?今日の様子がおかしかったのはコイツのせいなの?」
俺を指さし七瀬ちゃんを非難する白石さん。

「違うの!ななは、本当は・・・ふむっ!?」
七瀬ちゃんが本当のことを叫びそうだったのでとっさに口を塞ぐ。
『七瀬ちゃん、とりあえず部屋に入って』
うなずく七瀬ちゃんが部屋に入る
「なぁちゃん、ちょっと!!」
部屋に入る七瀬ちゃんに白石さんが声をかける。
俺は白石さんの腕を掴んだ。

「なに!?ちょっとやめてよ!!」
『お願い、白石さんもとりあえず部屋に入って!!!』
「はあ!?何なのよ!?手を放して!!」
『お願いだから、ちゃんと事情を説明するから!!』
俺の勢いに押されたのか白石さんは俺の部屋に入ってくれた。

『ごめん、白石さん。っ!!』
部屋に入れて、ドアを閉めた瞬間に白石さんにビンタされた。
「名前は悪くないの!悪いのはウチなんやから!!」
俺をビンタした白石さんに訴える七瀬ちゃん

「一体どういうことなのか、ちゃんと説明して!!」
怒りが収まる様子がない白石さんに俺たちは昨日からの事情を話した。

「そんな話を私に信じろって言うの?」
『いや、俺も突拍子もない話をしていると思うよ?』
「だったら、本当のことを話しなさいよ!!」
『でも、こうじゃないと今の状況を説明できないんだよ!!』
「それにしても、なぁちゃんが違う世界から来たってそんな話!!」
『仮に俺たちが内緒で交際していたとしても、こんな嘘をつく?もっとマシな嘘をつくって!!」
「うっ・・・・・。仮にそうだとして、これからどうするのよ?」

ようやく、こっちの話に耳を傾けてくれるらしい。

「ななは、こっちのななには迷惑かけたく無いと思うけど。今日のでやっぱり無理って思って・・・・・」
「まあ、確かに今日のは酷かったよね」
「ごめんなさい」
「明らかにおかしかったから、蘭世には食事はまた今度って言って追いかけてきたけど」
「そうなんや、寺田さんには悪いことしたな・・・・・」
「はあ・・・・・。なぁちゃん、とりあえず今週のスケジュール見せて」
「え?」
「こうなったら、私ができる限りフォローするしかないでしょ?音楽番組とかで歌う時のフォーメーションとかあるんだから」
「ありがとう、白石さん」
「乃木坂の為にするの。あなたのためじゃない。こっちのなぁちゃんが戻ってくるまではあなたに頑張ってもらわないといけないんだから」

七瀬ちゃんが自分のスケジュールが書かれたメールを白石さんに見せる。
「えっと、この日とこの日は夕方からお互い空いてるわね。レッスン場で歌う時のフォーメーション練習しましょう。何もしないよりはマシでしょう」
「白石さん、本当にありがとう」
「あと、私のことは「まいやん」って呼んで皆の前でそう呼ぶと不自然だし」
「わ、わかった。まいやん」
「なぁちゃんが他のメンバー呼ぶときの呼び方も私のわかる限り教えるわ」

「ところで、名前君だっけ?」
『あ、はい』
「あなたもわかると思うけど、私たち男性と会ってるのは不味いのよ。今後なぁちゃんとは会わないでくれる?」
『え?』
突然の白石さんの要求に戸惑う
しかし、彼女の言うことには一理ある。
そして、あなたも今見知らぬ男の家に居るんですが・・・・・これを言うともう一回ビンタされそうなので言わなかった。

「いや、名前と会えないなんて嫌や」
七瀬ちゃんが俺の腕を掴んで白石さんに訴えた。
「でも、この人はこっちの世界ではなぁちゃんの恋人じゃないんでしょ?」
「それでも!!この人がいたからこっちで頑張ろうと思えたの!!」

見つめあう、七瀬ちゃんと白石さん
「はあ、わかったわよ」
結局、白石さんが折れてくれた。
「会うなとは言わないけど、気を付けてよね?会う回数を極力減らすなり、対策はしてね。スキャンダルになったらシャレにならないんだから」
「ありがとう、まいやん」
『ありがとう、白石さん』

「あ、名前君」
『な、なに?』
「あなたも私のことは、まいやんって呼びなさい。あなたの呼び方がなぁちゃんに移ると困る」
『わ、わかった・・・・・まいやん』
満足そうにうなずく、白石さんじゃない、まいやん

「さて、なぁちゃん今日はとりあえず帰ろうか」

こうして、俺たちは乃木坂内に協力してくれる人を得ることが出来た。
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