パラレルワールド(橋本奈々未バージョン)

□AnotherWorld 第1話
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「あなた・・・・・誰??」
『奈々未??』


目の前の恋人が放った一言がこの奇妙な状況の始まりを告げた






デートの待ち合わせ場所に恋人の橋本奈々未がいなかった。
俺は街中を探すと近くに奈々未がいた


『奈々未!!』
奈々未が振り返り、怪訝そうな表情をする

「あなた・・・・・誰??」
『奈々未??』
「ちょっと馴れ馴れしくないですか!?」
『いや、奈々未こそ何でそんなに他人行儀な」
「いや、だから、あなた誰? プライベートなのでちょっとそっとしておいてくれません?」
『また、芸能人みたいなセリフをw』
「いや、これでも一応芸能人だし」
『は?芸能人?? いつ芸能活動始めたの??』
「え、ファンの人でしょ?」
『ファン?』


奈々未がさっきから訳の分からない言葉を繰り返す
俺を「誰?」とか言うし、それに芸能人???
俺が奈々未のファン??
まあ、奈々未のことは大好きだからファンといえばそうかもしれないけど、一応彼氏だし


「私のこと知ってるんですよね?」
『ま、まあ、橋本奈々未だよね?』
「そう、私の仕事もわかってるよね?」
『・・・・・そりゃまあ、同じ会社の同僚だし』
「はあ? あなたと同じ会社の同僚?? 頭おかしいんじゃないの??」
『え、ちょっと待て、一体どうしたの??』
「私は・・・・・ああもう!! こういうの言いたくないけど、乃木坂46のメンバー!」
『乃木坂46??』
「知ってるでしょ?」
『知ってる、年末の紅白で見た』
「ほら、知ってるじゃん。私歌ってたでしょ?」
『どこで?』
「あんた、ホント頭おかしいんじゃない? ステージに決まってるじゃない!」

奈々未が少し声を荒げる

周りの目が気になる

『ちょっと、周りが見てるから少し声押さえて』
「・・・・・」

俺をにらむ奈々未
なんで、コイツ今日はこんな変なことを言い出すんだ??

『ステージって言うけどさ・・・・・紅白は一緒に見たじゃん』
「はああ!?」
『だから、声が大きいって!』
「なんで、あなたと一緒に紅白見てるのよ!?」
『なんでって・・・・・年末年始は一緒に過ごしただろ?』
「なんで、一緒に過ごすのよ?」
『なんで、なんでって・・・・・もう・・・・・付き合ってるからだろ?」


「はあああ!?」
『奈々未!声!』
「頭おかしいんじゃない? 付き合ってらんない!!」
奈々未が立ち去ろうとする
『おい!! じゃあ、お前が乃木坂のメンバーだっていう証拠出せよ』
俺は奈々未を引き留める

何でこんな訳の分かんない会話をせにゃならんのだ、折角の記念日なのに俺なんかしたか??

「ネットで調べたら分かるでしょ?」
『ああもう・・・・・なんでこんなことを・・・・・』
俺はスマホからブラウザを立ち上げて橋本奈々未と打ち込む

当然・・・・・何かヒットするけど、奈々未が乃木坂46のメンバーという情報は当然出てこない

『ほら』
「ん?」
俺がスマホの画面を見せると不思議そうな顔をする

「なんで、出てないの?」
『だから、知らないって』
「ちょっと待って! 」






私の彼氏と名乗る男性
ちょっと変なファンの人か?と最初は思った。
そりゃ、そう思うだろう

ただ、強引に私を連れ去ろうとする雰囲気もなく、ちょっと怒りながらも説得しようとしているのは伝わった
だから私も自分の立場を伝えたのだが


彼のスマホを見ると私の名前での検索結果を見せる
乃木坂の情報が無い
「なんで、出てないの?」
『だから、知らないって』
「ちょっと待って! 」

私は念のために自分のスマホを取り出す
「出てこない!?」
自分のスマホで自分の名前を入れても、乃木坂に関する情報が出てこない
「そんな!?えっと・・・・・」
乃木坂46の公式ホームページを探す
メンバー一覧を確認


「うそ・・・・・」

私、橋本奈々未の名前が載ってなかった

「なんで、私の名前が公式ホームページに載ってないの!?」
『いや、だから・・・・・乃木坂のメンバーじゃないって意味だろ?』
私は目の前の自称私の彼氏に問いかける、彼も呆れたように答える


「じゃあ、私は何者?」
全く意味が分からない

『だから、俺の彼女さん』
「じゃあ、私があなたの彼女って証拠見せてよ!!」
こんなことしても何にもならないのだろう、でも私は訳も分からず必死だった


『なんで・・・・・もうメンドクサイな』
そう言いながら彼がスマホを操作する

そこには目の前の男性と私のツーショット

「はあ!?」
『奈々未、もう何なの??』
目の前の男性が少し苛立つような雰囲気になる

「だ、だって、合成かもしれないし!!」
『まだ、続けるの? もう・・・・・』
彼は呆れたようにスマホを操作する

『ほれ、去年の夏に一緒に旅行した時撮っただろ?』
そう言って、彼は彼のスマホの動画を再生した



動画の橋本「私は苗字名前の彼女の橋本奈々未です」
動画で私が手を振っていた
動画の苗字『何で俺のスマホで撮影してるの?』

スマホの画面には姿は見えないがスマホから目の前の彼の声がする

動画の橋本「名前のお友達への自己紹介用w」
動画の苗字『なにそれw』
動画の橋本「今、私たちは旅行中で〜す。名前は私の横で車を運転してま〜す」
動画の苗字『なにやってんの?w』
動画の橋本「こ、こうかな? 運転中の名前ですw」

動画の私がスマホと自分の姿勢を動かして、運転席の彼と私が映り込むようにする

動画の苗字『奈々未!!危ないから!!』
動画の橋本「はーい・・・・・」
動画の私は彼に叱られたのが不満なのか、頬を膨らませていた
そして動画が終わった





『これでいい? まあ、怒ったけどかわいかったから消さなかったw』
目の前の男性が恥ずかしそうに話す


「な・・・・・何これ!?」
『え?』



どういうこと!?
誰か説明して!?


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