パラレルワールド(橋本奈々未バージョン)

□第4話
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「あ、その様子だと二人は事情を知ってるの? ただいま、なんか戻ってこれたみたい」


「うそやろ!?」
「このタイミングで!?」


戻ってきたと話す、ななみん
それを聞いて驚愕する、なぁちゃんとまいやん


「ところで、今どんな状況なの?」
「今は、ななみんの卒業ライブの真っ最中」
「そっか、もう一人の私で卒業ライブを始めちゃったんだ」
「仕方なかってん、もう一人のななみんのこと知ってるの、メンバーだとウチとまいやんだけだったし」

「ななみん・・・・・卒業ライブの内容って分かる?」
「分かるわけないでしょw 向こうでは私、一般の人だよ?」
「せやけど、どないするん?」
「やるしかないでしょ?」
「でも、今から演出とか説明するには、時間が。それに私たちもななみんの演出の細かい部分までは」

「そこなんだよねえ・・・・・ん?」


ななみんがふと自分の手をみると小さな文字が書いてある。

「なんか・・・・・書いてる?」
「え?」
「どうしたん」

その文字を目を凝らして読むと

困ったときは、メインステージのA階段の裏へ

とあった。

「もう一人の私からの・・・・・メッセージ??」
「え?」
「どういうこと?」

「ごめん、メインステージのA階段ってどこ?」
「あ、それならそこの階段って、ななみん?」
ななみんの問いかけに答えるまいやん。
そして、その言葉を聞いてその方向に足早に向かう

「・・・・・ノート?」

指定された階段の裏には1冊のノートがあった。

ななみんがノートをめくるとそこには、曲の歌割や振付の注意点が記載されている。

「あ、これウチらがもう一人のななみんに教えたことや」
「そういえば、名前君がもう一人のななみんがノートに纏めてるって」
「ふーん」

ノートに書いてある、歌割や振付は正直、私が当然知っている内容だった。
これを見せたかった??

しかし、ある程度ノートをめくると・・・・・

「あ、今日のセットリスト!?」
「ほんまや、ステージの簡単な見取り図もあるやん、演出の注意点も!?」

「あ〜〜〜〜!!」

「ちょ、ちょっと、しーちゃん!?」
「ど、どないしたん!?」

突然、まいやんが大きな声を出しビックリする、ななみんとなぁちゃん

「もう一人のななみん、演出家の先生の話とかICレコーダで録音してた!後で纏めるって!!」
「じゃあ、このノートって?」
「もう一人の私がライブの演出とかを書き起こしたの!?」

「でも、何でこのノートが?」
「自分の確認用??」

「いや、そうでもないみたいw」
ノートの最後のページをななみんが二人に見せる

そこには

「もう一人の私へ、ここまでやったんだから、最後はビシッと決めなさいよ!!」

と書かれていた

「ななみん、いけそう?」
「これがあれば、何とか・・・・・なぁちゃん、お願いがある」
「え?何??」
「今やってるVTR明けのMCに少し遅れて合流するから、私いない間に繋ぐようにお願いして、理由は私の体調不良でもなんでもいい!!」
「わ、分かった!! でも、そんなに長くは」
「じゃあ、5分程度って伝えて!」
「う、うん」

走り出す、なぁちゃん

「5分で大丈夫なの?」
「全部は無理だけど、次にステージ裏に戻るまでの分なら・・・・・ごめん、集中させて」
「あ、うん」
ノートに書いてあることを必死に頭に叩き込む、ななみんをまいやんは心配そうに見つめていた。


一方ステージでは、VTR明けのMCを回していた玲香がスタッフを見る。

(なんで、主役のななみんがいないの・・・・・え?遅れて合流!?)

スタッフからの指示で、MCをつなぐために頭をフル回転し、トークを続ける

(え?なに??トラブル???)


「よし」
ななみんがノートを閉じて、元の場所に戻す

「大丈夫?」
「多分w 行こう、まず衣装を変えなきゃ」
「うん」


そして、ステージに立つ

戻ってこれた・・・・・

満員のさいたまスーパーアリーナの景色を見る。
帰ってこれて良かった。
ここまで頑張ってくれたもう一人の私に感謝。


MCをしてるメンバーの元へ
「ごめん、ちょっとここに戻ってくるのに手間取っちゃった」
「ななみん、遅いよ〜」
「ごめん、ごめん、本当にお待たせしました」

ここからの時間は、もう一人の私の力も借りて、ファンの皆と乃木坂46の橋本奈々未として過ごす最後の大切な時間だ






橋本奈々未の卒業ライブが終わり、夜遅くに俺の家には奈々未ちゃん、まいやん、七瀬ちゃんが居た

『卒業直後だし、皆でお別れ会とかしないで良かったの?』
「お別れはちゃんとしたよ。でも、明日はバースデイライブがあるから、夜通しというわけにはね」
『あ〜、そういうこと。二人は明日もあるんじゃないの?』
「まあ、遅くならんように帰るわ」
「そうだね、私たちは明日以降もあるもんねw」

『で、何で俺の家に?w』
「まあ、もう一人の私もお世話になったみたいだし、お礼を言いにねw」
「名前君、今日本当に大変だったんやで?? 途中でななみん戻ってくるし」
「一時はどうなるかと思ったよ」

『ライブ観てたけど、問題なかったじゃん。ちゃんとノート見つけたんでしょ?』
「ちょ、ちょっと、ノートのこと知ってたん?」
「何で、私たちに言ってくれなかったの!?」
俺の言葉に、反応する七瀬ちゃんとまいやん

『ご、ごめん、途中で帰ってくる可能性について、前日の遅くにもう一人の奈々未ちゃんが気が付いて、一緒に対策を考えてたw」
「でも、一言ぐらい言ってくれても」とまいやん
「そうやで」と七瀬ちゃん
『あんまり、余計な心配を掛けたくないって言ってた。きっともう一人の私が何とかするだろうってw』
「何それ、二人してひっどーいw」と奈々未ちゃん

『何はともあれ、お帰りなさい。奈々未ちゃん』
「ただいまw ホント、向こうの名前君と一緒でこんなことに首つっこんで、お人好しだねw」
『向こうの俺もそうなの?w』
「あれは、もう一人の私みたいなしっかりした彼女が居ないとダメだねw」
『ひどい言われようw』

「あ、ななみん、時計みて」
とまいやんが声を掛ける
「ん? あ〜、そろそろだね」

時計を見ると0時までもうすぐだった。

そして、2017年2月21日を迎えた。

「卒業かあ、色々あったなあ。最後に凄いことに巻き込まれたしw」
「ななみん、卒業おめでとう。お疲れ様」
「ななみん、今まで、ありがとう」
「うん、二人ともありがとう。名前君も今回はありがとう」
『いえいえ』

「と、いうわけで!」
突然、奈々未ちゃんがちょっと大きな声をあげる。

そして、俺に抱き着いた
『え?え?』
突然のことに戸惑う俺

「私は、今から恋愛解禁です!!」
俺に抱き着きながら宣言する奈々未ちゃん

「はあ? ななみん、何してるん!?」
「ちょっと、突然何わけわかんないこと言い出すのよ!!」

突然の展開に固まる俺

「この人、私みたいなしっかりした女性が居ないとダメなタイプなんだってば!!」
「いやいや、だからっていきなりおかしいやん!? 名前君も何かいいなよ!!」
「そうだよ、名前君の意思もあるでしょうに!!」


抱き着いたままで、奈々未ちゃんに見つめられる。

そして、その美しい顔で尋ねられる。

「・・・・・嫌?」


『・・・・・嫌・・・・・じゃないです・・・・・』


「「おい!!! 名前!!!」」


FIN

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