パラレルワールド(特別篇)

□中元日芽香編2-A
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「え? こっちの私の代わり!?」
「お願い、戻るまでの間でいいから!」

私は、乃木坂でアイドルとしての人生を送る中元日芽香のいる世界にきてしまったらしい。
その説明だけでも現実感がないというのに・・・・・

「最終的に元に戻るんでしょ?」
「うん、期間はバラバラやけど、今までの皆は最終的に元の世界に戻ってる」
「じゃあ、私がこっちに居る間は活動をお休みして、元に戻ったら活動を再開ってことじゃダメなの?」
「それが・・・・・」
「なに?何か問題があるの?」
「ひめたんには、あまり時間が残ってないんだ」
「どういうこと?」

そこで知った、こっちの世界の私の卒業と引退の話

こっちの私の卒業を語るラジオやブログを読ませてもらう
少し考え込む

「ひめたん?」
「・・・・・ごめん、ちょっと考えさせて」

こっちの私はどんな思いで卒業と引退を決意したんだろう。
悔しかったのだろうか?満足したのだろうか?それとも諦めの境地に至ったのだろうか?

同じ中元日芽香だけど、積み重ねてきたもの違うので全く同じ思考にはたどり着けない。
もしかすると、他の人よりは近い考えができるかもしれないけど。
こっちの私の思いは、彼女だけのものだろう。

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ファンの暖かい言葉に溢れていた。

私が中学・高校・大学とごく普通の女性として過ごした青春と違い、彼女は乃木坂として、アイドルとして青春の全てを捧げたのだろう。
そして、それを応援するファンがいる。

「アイドル・・・か・・・・・」
「ひめたん?」
「あ〜、もう!! 失敗しても責任とれないよ?」
「じゃあ!?」
「どこまでできるかわからないけど・・・・・」
「ありがとう!!」
「私のままで、卒業と引退ってのは避けたいけどねw」

私の回答に西野さん、衛藤さん、生田さん、名前が喜んでくれた。
斎藤さんが一人浮かない表情

「ちーちゃん?」
生田さんが斉藤さんに声をかける

「斎藤さん、納得いかないかもしれないけど協力してくれない?」
私は斎藤さんにそう声をかけた。

「・・・はぁ、それがめーちゃんのためになるんだよね。分かった協力する」

こうして、私の乃木坂46の中元日芽香としての日々が始まった。


「きっつ・・・・・」
想像以上に乃木坂46の中元日芽香としての日々は忙しい

「めーちゃん大丈夫?」
斎藤さんが声をかけてくる

「あ、斉藤さ「違う違う」、ごめん、ちーちゃん。何とかね」
斎藤さん、じゃない、ちーちゃんに訂正されて答える。
事情を知らないメンバーや一緒に仕事をする人の前では、乃木坂の中元日芽香として振るわなくてはいけない。
これが結構めんどくさい。


ちなみに今はアンダーライブと言われるライブツアーの準備中
昔、ちょっとやってたから、何とかやってるけどブランクがある分、正直辛い
どうも、私とこっちの私の分岐点は、アクターズスクールをあの時辞めたか辞めなかったかの違いらしい


それとは別にラジオ・テレビの収録などもこなす。
卒業発表しているので、当然注目度が増している。
その前に体調不良で休業していたらしいので、これでもセーブしてもらってる方なのだろう。
それが無かったらどれだけ忙しかったんだろうとゾッとしたけど、休業するほど体調を崩さなければ、アイドルを続けていたのかと思い直した。

幸い、まだボロは出ていない。
けど・・・・・

「ひめたん、卒業発表して吹っ切れた顔してるよね?」
「そうですか?」

そんな風に共演者の方が声を掛けて頂くことがある、これが正解なのかどうか・・・・・
正直、究極的には他人事なんだよね、ものすごく申し訳ないけど。
所詮、今の私は影武者みたいなもんだしなあ。



『どう、日芽香ちゃん慣れた?』
「全然、慣れないw」

今日は名前の家に遊びに来ている。

「でも、上手くやってくれてると思うよ」
「そうだね」
今日は、まいやんとちーちゃんも一緒だ。

「でも、実は結構なメンバーが入れ替わってた時期があったなんて知らなかったよw」
「それだけ、私も含めて他の人たちが頑張ってたんだよw」
「メンバーの私も騙されてたんだもんなあw」
ちーちゃんとそんな会話をする。

「ごめん、私がなぁちゃんの時に最初に内緒にしようって話したから」
とまいやんがちーちゃんに謝る。
「まあ、まいやんも考えがあってのことだしね」

「こっちのめーちゃん大丈夫かなあ」
「向こうで名前が何とかしてると思うけど・・・・・、あいつ浮気してないかな?」
「どういうこと?」
「え〜、こっちの私、アイドルしてるだけあってかわいいもんw」
「きっと、大丈夫だよw」
ちーちゃんとは、こんな冗談を言えるようになった。

「でもさ、いつか私もこんな体験するのかな?」
とちーちゃんが口にする。
『俺に言われてもw』
「突然、名前君が彼氏づらするんでしょ? 蹴るかもw」
『やめてあげてw』
「結婚してるってパターンもあったよ?」
とまいやんが茶化す。

「え?そんなパターンあったの? その時は家から締め出すw」
『かわいそうだから、話し合ってあげてw』

こっちには、名前と乃木坂のメンバーがいるけど・・・・・
向こうは名前ぐらいしか頼る人いないもんな、大丈夫かな?
そんなことを思う夜だった。

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