パラレルワールド(AnotherWorld)

□第8話
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乃木坂46バースデイライブ最終日


私は、こっちの乃木坂46のバースデイライブに来ていた。
私のいない乃木坂46のライブ

やっぱり、やってるのと外から見るのでは全然景色が違う。

ライブで盛り上がっているのは感じていたけど、客席からはこんな風に見えるんや

そんな新しい発見が沢山あった。

いつも、なながやってる箇所は違うメンバーがやっている。
あの子、こういうことも出来るんやな。

そんなメンバーの新たな一面も発見できた。

会場の一体感

やっぱ、ライブってええなあ。



そして、不思議なことが起きた。

周りのサイリウムの色が変わる。

緑と白のサイリウムで会場が埋め尽くされる。
音が消えた。

(あれ、これってななの・・・・・こっちでは他のメンバーが使ってるんやろか?)

私はステージを見る。
その瞬間目を疑った。

え?なながおる??

そこには、私が、一人で歌を歌う西野七瀬がいた。

ああ、そうか

何故だかわからないが、私は理解した。

私の世界に行ったこっちのななだ。

私の居場所を守るために、彼女は頑張ってくれているのだ。

ステージ上の西野七瀬がこっちを見る。
ちょっと驚いた表情

動じずに歌い続ける姿。

やるやん
結構堂々と歌っててこっちもビックリ

「ありがとう」

ステージ上の西野七瀬に声を掛ける。

向こうが小さく頷く、私も頷き返した。

次の瞬間

ステージから西野七瀬が消えた。

あれは一体・・・・・

となりで不思議そうに名前君が私を見ていた。

どうしたの?と言わんばかりに

私は首を振り、何でもないよと伝えた。
多分、私たちにしか見えてなかったから


ライブからの帰り道
「あ〜、楽しかった!!」
『楽しんでたね』
「外から見るとこう見えんねんな〜」
『参考になりそう?』
「うん、名前君連れてきてくれて、ありがとう」

向こうに行ってるななにも会えたしね



とある日の部屋の中で

「なあなあ、名前君」
『ん?何?』
「カレンダーのあそこの土日、なんで印が付いてるん?」
私はカレンダーを指さす

『え?ああ、あれね』
「そうそう、なんか予定入ってるの?」
『実は、あの日は七瀬と一緒に俺の実家に行く予定だったんだ』
「そうやったん?」
『でも、今は事情が事情だしね。どっかのタイミングで親に連絡して中止にするよ』

翌日のバイトの休憩中

「え?七瀬、名前の実家に行くの?」
「うん、元々予定してたみたいだから」
「でも、いいの?」
「なにが?」
「名前の実家に行くってことは、ご両親に会うんでしょ?」
「そうなるなあ。言いたいことは分かるけど、こっちのなながやるはずのことを代わりにやるだけだよ」
「でも・・・・・大丈夫?」
「大丈夫やって。・・・・・それに向こうでこっちのななが頑張ってるしウチも頑張らないと」
「え?なに??」
最後のほうは心で思ったつもりだったが、小さく口にでてしまったみたいで、優花が聞き直してきた。

「ううん、なんでもない」


そして、名前君の家に行く日がやってきた。

彼の実家は東京から離れている。
電車を乗り継いで行かなければならない。

車窓から見える景色は、段々と町から田園風景、山々へと姿を変えていく。
『ほんとうに大丈夫?』
ずっと心配している名前君

「大丈夫やってw ちゃんと彼女するからw」
『まあ、そこまで言うならいいけど。あまり無理しなくていいからね』
「うん、ありがとう」

そうこうしているうちに名前君の実家の最寄り駅へ

「お帰り、あなたが西野さん?」
「初めまして、西野七瀬といいます。今日はお世話になります。」
「あんたには、もったいないくらいカワイイ子ね」
『もう、うるさいなw 父さんは?』
「車の中で待ってるわよ」
名前君のお母さんに駅で出迎えてもらい、私は挨拶をした。
そのまま、お父さんが待つ駐車場へ

「名前お帰り。またカワイイ子を連れてきたな。名前にはもったいないw」
『夫婦そろって言うことがそれかよw』
「西野七瀬です。今日はお世話になります。」
「まあ、二人とも乗りなさい」

駅から20分ほど車に乗り名前君の実家に向かう。
これが名前君の育った町かあ

『何もないでしょ?w』
「でも、これが名前君の育った町なんだよね」
『まあね』

家に着いて荷物を置いた後で二人で外に出た。
少し散歩する。

「わあ、向こうまで田んぼやし、すぐ裏は山なんやね」
『これぞ田舎って風景でしょ?w まあ、何もないよw』
「でも新鮮な景色だし、リフレッシュできるよね」
『そう?ならいいんだけどw』

名前君の通った小学校を見たり、農業用の用水路に魚が泳いでいるのをみたりして周囲を散策した。

家に戻ると名前君のお母さんが手料理を振る舞ってくれた。
とても美味しかったし、食卓では会話も弾んだ。

ちなみに苦手な食べ物は名前君が代わりに食べてくれた。
感謝

「名前君って小さいことどんな感じだったんですか?」
「実はね」
楽しそうに名前君の小さいころのエピソードを話してくれる名前君のお母さん

「え〜そうだったんですか??w」
「そうなのよw」
「そうそう、他にはこんなこともあったよな?名前」
『もう、勘弁して』

名前君は何か凹んでたけど、名前君のご両親と楽しい時間を過ごせた。

「そう言えば、いつ東京に戻るの?」
『明日の15時ごろの電車で帰る』
「そう、じゃあ少し遅めにお昼を食べようか、昼過ぎまでゆっくりしてなさい」
『うん』
「ありがとうございます」

私は、客間に用意してもらった布団に入った。

(名前君のお父さんとお母さん、優しい人だったな。)

(このまま、戻れなかったら。名前君と結婚するのかな?)

正直、それも悪くないかな?と思う自分がいた。
名前君と結ばれて、子供ができて、笑顔で家族と暮らす。
そんな人生もいい

(でも、乃木坂46の西野七瀬としても頑張りたい。やっぱ戻りたいのかな、ウチ)

そんなことを思っていたらいつの間にか眠っていた。



「名前!!起きて!!もう九時半!!! 用意しないと!!!」
『ん?九時半?? まだいいじゃん。ねむ・・・・・』
朝っぱらから七瀬が実家の俺の部屋に乗り込んで、俺を起こす

「今日は、夕方から仕事があるって昨日話したやん!!」
『仕事?何の話??』
「だから、乃木坂のお仕事!!」
『向こうの世界の時の夢でも見たの?』
「だから、夢なんか・・・・・え?」
『どうしたの?って うわ』

七瀬がベッドで上半身を起こしていた俺に抱きついた。

『な、七瀬?』
「うっ、うっ・・・・・名前、会いたかった」
泣きながら俺に抱きついてくる

『も、もしかして?』
「ただいま、名前」

泣きながら笑顔で七瀬は答えた。

『七瀬!』
俺は七瀬を抱きしめた。

そして、自然と唇を重ねた。

「名前、お散歩行こう?」
『散歩ってこの辺何もないよ?』
「知ってるw 昨日も向こうの世界で回ったから」
『じゃあ』
「名前と一緒に行きたいの」
『わかった、ちょっと準備するから七瀬も着替えてきて』
「うん、あ、あれ」

七瀬がテーブルの上に置いてある、向こうの世界の七瀬からもらった腕時計を見つけた。

『あ、ああ、あれは・・・・・』
「向こうのななからのクリスマスプレゼント?」
『え?なんで??』
「ふーん、まあ、同じななやし、今回は浮気にはカウントせんとくわ」
『あ、ありがとうございます』

二人とも準備が終わり玄関でふと七瀬をみるとネックレスを身に着けていた
「あ、これ?名前のクリスマスプレゼントやろ?」
『そ、そうだけど』
「まさか、同じものをお互いプレゼントしてるとは思わんかったわ」
『え?どういうこと?』
「ん?分からんかったら、別にそれでええわw」

そうして二人で家の近くを散歩する。

七瀬が俺に語りかけた

「なあなあ、名前聞いて、ウチ向こうの世界でな・・・・・」


FIN

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