パラレルワールド(AnotherWorld)

□第6話
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「う〜、頭痛い・・・・・」

私は目を覚ますと頭痛に悩まされた。
外は少し明るくなっている。

隣を見ると優花が寝ていた。

そっか、昨日は合コンに巻き込まれたんだっけ・・・・・

少しずつ昨日の記憶が蘇る。

やたらとしつこかった幹事の男性

優花に引っ張られて帰った帰り道。

名前君に・・・・・

ちょっと待って
私、名前君に何か凄いこと言わなかったか?

(名前君みたいな人が好き〜)
(こっちのウチとウチってタイプの男性同じなんやな〜って)

記憶違いじゃないよね?
というか、記憶違いであって!!
彼女がいる人にそんなこと言うなんて!!
あ、でも、彼女ってななのことかって、も〜わけわからんくなってきた!!!

ふと服を見ると昨日の服装のまま、化粧も当然落としていない。

最悪・・・・・

とりあえず、シャワー浴びよう・・・・・

寝室を出ると名前君はもう起きていた。

『あ、七瀬おはよう』
「あ、うん、おはよう」
何か挨拶がぎこちなくなってしまう。

『昨日、大分飲んでたみたいだけど、大丈夫?』
「まだ、頭痛いw ちょっとシャワー浴びてくる」
『うん、そうしてきな』

私は、化粧を落としてシャワーを浴びた。
汗などが洗い流され、とても気持ちいい

でも、昨夜の自分の言葉のモヤモヤは洗い流されなかった。

ウチ、ほんまに言ったんやろか
名前君、それ聞いてどう思ったんやろ?

一度気になるとどうしてもそれが頭から離れなかった。

シャワーを終えて出ると、名前君が朝食の準備をしていた。

「あ、ごめん名前君」
『いいよ。今日は無理でしょ?w』

実は共同生活で彼が社会人、私が大学生で時間があるのでご飯は私が作っていた。

『七瀬みたいに作れないから、パンとサラダだけだけど』
「ううん、ありがとう」

名前君が焼いてくれたパンとサラダ、そして紅茶が食卓に並んだ。

『何か、お腹に入れたほうがいいよ』
「うん」

紅茶を飲み、パンを食べる。
少し胃のムカムカした感じが治まった気がした。

意を決して、尋ねてみる。

「ねえ、名前君」
『ん?なに?』
「昨日のウチの言葉・・・・・って覚えてる?」
『タイプが一緒ってやつ?』
「!!」

やっぱり、言ってたんだ。

「あ、あの・・・あれは・・・・・」
『純粋に嬉しかったよ。ありがとう』
「え?」
『ん?どうしたの?』
「ううん、なんでもない」

嬉しかった。
その言葉でドキっとしてしまった。

そうなんや、そう思ってくれたんや

『あ、やべえ、そろそろ行かなきゃ』
「あ、ホンマや、もうこんな時間」
『ごめん、後片付け・・・・・』
「うん、ウチがやっとくから大丈夫」
『じゃあ、行ってきます』
「いってらっしゃい」

そう言って、名前君は家を出て会社に向かった。

カチャ

寝室のドアがそーっと開く
優花がひょこっと顔を出す。

「名前、もう出勤した?」
「うん、今出たところ」
そう答えると優花が寝室から出てきた。

「はあ、昨日すごく怖かった」
「メッチャ怒られてたなw」
「普段はあまり怒らないけど、七瀬絡みで怒るすごく怖いんだよね。そこに正座させられたしw」
「自業自得やろ?」
「反省してます・・・・・」

それからしばらくたって
世間はクリスマスシーズンになった

「七瀬、クリスマスはどうするの?みんなで女子会しない?」
紗耶香に聞かれる。
「え?クリスマス?」
そういえば、どうするんやろ?

「そりゃ、七瀬は苗字先輩と過ごすんじゃない?あんたと一緒にしたらダメだって」
と理恵が茶化す

「なによ、自分が前の合コンで知り合った人と遊ぶ約束取り付けたからって!」
「紗耶香、落ち着いて。理恵も変なこと言わないでw」
私は二人を宥めながら考えた。
今年のクリスマスはどうなるんだろう?

その日の夜に名前君に尋ねた。

「ねえ、名前君」
『ん?』
「今年のクリスマスって・・・・・」
『あ〜。実は前々からクリスマスイブはレストランの予約はしてあるんだ』
「こっちのななと行く予定だったの?」
『・・・・・まあね』

そりゃそうだよね

「予約は取り消さんの?」
『いつ元に戻るか分からないし、それに』
「それに?」
『元に戻ってなくても、目の前の七瀬と一緒に行きたいし』
「こっちのななの代わりに?」
『そう卑屈に捉えないでよ。どの世界の七瀬だろうと七瀬は俺の大切な人なんだから』

もしかしたら、こういう答えを名前君に求めていたのかもしれない。
誰かの代わりではなく、私を見てほしい

でも、いざ言われると恥ずかしくなる

「な、なんか、恥ずかしいね」
『俺だって恥ずかしいけど、そっちから振ってきたんでしょうが』
「う、うん、ごめん」


クリスマスイブ当日

私たちは、予約したレストランに行くために出かけた。
今年は、クリスマスイブが休日のため、凄く人が多い

「どういうお店にしたの?」
『それを言ったら楽しみが無いでしょ?』
「え〜、ええやん教えてよ〜」

そんな会話をしながら繁華街を歩く

周りはカップルが多いというか、カップルに目がいってしまう。
私たちも傍から見ればそう見えるんかな。

乃木坂に入ったのは、高校生の時だったし、乃木坂に入った後は当然クリスマスに男性と過ごしたことは無い。

だから、クリスマスに男性(今年は彼氏と呼んでいいんかな?w)と一緒にお洒落なレストランに行くというのは初めてで少し舞い上がっていた。

「あ」
でも、そんな舞いあがった私の心が冷静になる瞬間が訪れた。

『どうしたの?』
「向こうから歩いてくる二人組の男性」
『ん?どれ??』
「ほら、あれ、あの二人。そのうちの一人がこの前話した、合コンのしつこかった男性幹事さん」
『え?』
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