パラレルワールド(AnotherWorld)

□第5話
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人生一寸先は闇とは、よく言ったものだ。

乃木坂のメンバーとして、芸能界を駆け抜けていた私は、今女子大生をやっている。

そして、何故か正面にしらない男の人が4人

合コンなんて、初めて参加した。
ていうか、本当にあるんだ合コンって

元の世界だったら写真週刊誌に載っちゃうやつやんな。
乃木坂の皆に迷惑かけちゃう。

というか、こっちの世界の私は私の世界でちゃんと生活できてるかな?

「・・・・・野さん」

メンバーの皆、元気かなあ。

「西野さん?」
前に座っている男の人が心配そうにこっちを見ていた。

「え?あ、なんだっけ、ごめん」

やばい、ボーっとしとった。

「七瀬、大丈夫?」
となりの紗耶香が心配そうに聞く。

「うん、大丈夫。昨日、ちょっと遅かったから」
そう言って、私は誤魔化した.

私、西野七瀬は只今、絶賛合コンに参加中だ。
というか、知らん男の人と喋るの苦手なんやけど。

こんな状況に私を巻き込んだ張本人は・・・・・
少し、申し訳なさそうな顔をしていた。

今更そんな顔しても許さへんよ

「カシスオレンジください」
お酒のおかわりを注文する。

自己紹介や男の人からの質問、好きなものや趣味の話など色々と話すが状況に混乱して頭に入ってこない

正直、お酒を飲んで気を紛らわすぐらいしか、手が思いつかなかった。

「私、ちょっとお手洗いに行くね」
優花が席を離れる。

「あ、ウチも」

私は、席を離れて優花を追いお手洗いに入った。

洗面台で優花に尋ねる。

「ホンマに、どういうことなん?」
「七瀬、ごめん」
手を合わせて謝る優花

「幹事の男の人に、誰か紹介してって前から頼んでたんだけど、その彼が七瀬のこと気に入っちゃったみたいで」
「何でその人、ウチのこと知ってるの?」
「いや、前に私が七瀬と遊んでた時に、偶然見かけたらしくて、あの子を連れて来たら紹介してくれるって」
「なんなん?それ?」
「ほら、クリスマス近いじゃん?七瀬は名前がいるからいいけどさ」
「何で、先に言ってくれなかったん?」
「言ったら、協力してくれた?」
「・・・・・」
「ほら」
「あ〜、もう!!今回だけやで?」
「ほら、元の世界じゃ合コンなんて行けないでしょ?」
「あんま、都合の良いことばっかいうと、ホンマ怒るで?」

私たちは、席に戻った。

そして・・・・・席替えされていた。

マジか

女子一列、男子一列から、交互に座る形に席順が変わっている。

優花が両隣男に挟まれる席に行こうとすると

「加藤がここに来るとまた俺と話すことになるから、加藤そっちに座ってくれない?」
幹事の男性がそう優花に言う。
優花が端の席に座らされ、私は両隣が男性の席に座ることになった。

左右男性に挟まれるし、正面も男性。
正直、お酒のピッチも上がる。

「西野さんって一人暮らし?」
幹事の彼が私に聞く

・・・・え?

これなんて答えよう??

同棲してるって言うと不味いよな。
一人暮らしがいいのかな?

でも、この人ウチを狙ってるらしいし・・・・・

「あ、七瀬は実家暮らしだからね。門限あるし」
優花が代わりに答えてくれた

「なんでお前が答えるんだよwそうなんだ」
「そうやねん、だからあまり遅くまで遊べなくて」
とりあえず、とっさの優花の嘘に乗っかることにした。

「え〜、一人暮らしとかしないの?実家だと親とか門限とかめんどくさくない?」
それこそ、人それぞれやろ、何なんこの人?
さっきから、結構自分の考えを押し付けてくる。

私の考えも尊重して欲しい。
名前君なら、そういうのは尊重してくれるのに

あれ?なんで名前君のことが思い浮かんだんだろう。
そう思い、彼との共同生活を少し思い浮かべる。

適度な距離感。
お互いを信頼しているからこその空気感
もちろん、他人同士だからちょっと腹立つこともあるけど。

今みたいな嫌悪感はない。

「あ、俺最近手相みるの趣味なんだ」

あ〜、聞いたことある。
そうやって手を触るやつでしょ?
初対面でそんなことする??

名前君は私がこの世界に来て泣いたときは、こっちの私が恋人なのに優花にお願いするとか気を使ってくれたよ。

ん?
そう思うと彼の優しさや気遣いを思い出す。

思い出すと、とても申し訳ない気持ちになる。
そうなると更にお酒を飲んで紛らわすしかなかった。





何杯飲んだんだろう?
頭がボーっとする・・・・
フワフワした感覚

予約していた時間が過ぎ、私たちはお店を出た。

「七瀬ちゃん、この後二人で2軒目行かない?」
幹事の男の人が小さく声を掛けてくる。

「まだ飲むの〜?自分凄いなあ〜」

「ダメよ!七瀬そろそろ帰らないと門限に間に合わない!!」
優花が私たちの様子に気付いて私の手を掴む

「なんでお前が出てくるんだよ。お互い大人なんだから、それぞれの判断だろ?」
「だーめ!門限破ったら、私が七瀬と遊べなくなっちゃう!!」
「じゃあ、七瀬ちゃん。連絡先交換しよう」
「ん〜、連絡先交換??」

「ゴメン!!今回は、私経由にして」
「いや、でも」
「ほんとゴメン!七瀬の門限に間に合わない。私、七瀬を家の近くまで送るし私と七瀬は今日は帰るね」
「じゃあ、私たちも」

こうして、合コンは2次会もなく終わった。

優花に手を引っ張られて歩き、駅に向かう

「私が七瀬を家まで送るね」
「優花お願いしていい?七瀬、本当に大丈夫?」
「うん、大丈夫〜〜〜」
皆の会話が聞こえるけど、どこか遠くで話しているような感覚

「七瀬大丈夫?」
「頭がボーっとする〜」

優花と一緒に席に座り家路へ
電車ってこんなに揺れるっけ・・・・・


「名前君!ただいま〜〜〜〜!!」
『七瀬!?どうしたんだ?メチャクチャ酔っぱらってるじゃないか。優花何があったんだ?』
名前君が私を玄関で出迎えてくれる。

「いや、あのね」
「あんな〜、今日は4人で〜ご飯食べるのかな〜?って思ったら〜、知らん男の人たちと合流して〜」
「バカっ、七瀬!!」
『は?』
「でもな、ウチ強引なの好かんねん。名前君みたいにちゃんと距離感大切にしてくれたりとか〜、考えを尊重してくれる人が好き〜」
『そ、そりゃどうも』
「だから、こっちのウチとウチってタイプの男性同じなんやな〜って思ってん」
『七瀬、とりあえずベッドに行こうか?』
「は〜い」
名前君が私に肩を貸しながら玄関から寝室に向かう


『あと、加藤さん。ちょっと話があるし、上がっていきなよ』
「あの・・・苗字先輩?私もそろそろ終電が・・・・・」
『今日は泊まっていいから、それとも今後二度と家に入れないし、七瀬と遊ばせないほうがいい?』

後に七瀬と優花はこう答えた
あの時の名前の後ろに炎が見えた、そう不動明王みたいだったと・・・・・
※不動明王は、無理矢理にでも人々を正しい道に戻す仏様です(解釈色々あるかもしれないので、違ってたらごめんなさい)

「お、お邪魔します」


私は名前君に寝室に連れて行ってもらい、ベッドに座る
『七瀬、お水飲む?』
「飲む〜」

すぐに名前君がお水をコップに入れて持ってきてくれた。
それを一気に飲む。

『七瀬、とりあえず横になりな?』
「は〜い、名前君おやすみ〜」
『おやすみ』

私はそのまま横になり、布団を名前君に被せてもらった。
頭がボーっとする・・・・・

ドア越しに声が聞こえる。

(とりあえず座れ・・・・・・誰が椅子に座っていいって言った、そこに正座)
(あ、はい)
(で、どういうことだ?)
(あの・・・・実は・・・・・)
(このドアホ!!!)
(ごめんなさい!!でも・・・・・)
(そんなの言い訳になるか!!)
(ごめんなさい!!)

優花、名前君に怒られとる・・・・・
いい気味や・・・・・

そこで限界がきて、私は意識を手放した。
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