パラレルワールド(AnotherWorld)

□第4話
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少しずつ、こっちの生活にも慣れてきた。

芸能界のような不規則な生活とは違い、学生なので生活のリズムがわかりやすい。
一度、掴めれば何とかなるものだった。


名前君との同棲・・・・・うーん共同生活もなんとかこなしている。

彼が仕事で遅くなる日もあるし、私がバイトのシフトの関係で遅く帰る日もある。

それは、彼の方が早く帰ってきていた時のことだった。

「ただいま〜」
『あ、七瀬おかえり』


彼はテレビをつけて見ていた。
そこに映っていたのは、この世界の乃木坂46

『ん?どしたの?』
「え?あ、うん何でもない」
『七瀬は元の世界では乃木坂のメンバーだったんだよね?』
「うん、そうやで」
『やっぱ、乃木坂の活動って大変?』
「うん、そりゃ大変やで。でも、メンバーと一緒やったし。すごく充実してるよ」
『じゃあ、何でそんな辛そうな顔で乃木坂を見てるの?』
「え?」
『何か、乃木坂を見て思うことがあるんじゃない?俺でよかったら聞くけど?』
「そんなことないよ?」
『そう?ならいいけど。一人で悩むより二人で考えたほうがいい考えが浮かぶかもって思ったけど。まあ、話したくなったら話して』

そういって名前君はそれ以上何も聞かなかった。

そのまま、私たちは晩御飯を食べた。

一人で悩むより・・・・・
私は彼の言葉が頭から離れなかった。

このモヤモヤした気持ちを誰かと共有できたら少しは気が晴れるのかな。

晩御飯が終わり、後片付けも済んだ後に私は名前君に話しかけた。

「ねえ。ちょっと聞いてもらってもええ?」
『ん?どうしたの?』
「あんな・・・・・、こっちの乃木坂ってやっぱ人気あるん?」
『そうだなあ、あると思うよ。紅白も出たりしてるし知名度はあると思う。そっちもそうだったんでしょ?』
「うん、ウチらも紅白はでたんやけど・・・・・。」
『けど?』
「ウチがいなくても乃木坂が人気あるなら、ウチって乃木坂に必要なんやろか?」
『え?』
「あ、ごめん。気にせんとって」
『うーん、ちょっと考えさせて』
「え?」
『七瀬のファンは当然元の世界にいたんだよね』
「え?ま、まあ、ありがたいことに」
『その時の七瀬のファンがこっちでは乃木坂のファンじゃない可能性もあるってことにならない?』
「どういうこと?」
『七瀬がいない今の乃木坂の何かの魅力を感じたファンがいるからこっちでも人気なら。それを探って向こうの世界で取り込んだら?』

この世界の乃木坂の魅力?
それを取り込む??

『だから、神様がチャンスをくれたと思えば?神様が外から乃木坂を研究するチャンスをくれたって』
「考えたこともなかった・・・・・、名前君、すっごいポジティブって言われるでしょ?w」
『いやあ、それが基本ネガティブ思考なんだよねえw』
「え?そうなん??」
『二人して落ち込むとどうしようもなくなるから、片方が落ち込むと無理やりポジティブなこと言うようにしてるだけw』
「なにそれw」

でも、話をしてちょっと気持ちが楽になった。
外から乃木坂を見て考えてみよう。
戻った時にさらに輝けるように。

その後、私はこっちの乃木坂をあまり気にせず見れるようになった。



ある日、私は優花に声を掛けられた。
「七瀬、今度さ何人かでご飯食べに行かない?」
「え?二人じゃなくて?」
「うん、ちゃんとフォローするし」
「うーん」

こっちでの生活に少しづつ慣れてきた私。
でも、あまり外で遊んだり、こっちのななの友達とご飯とか行ってない。
そういうのも少しずつ慣れていかないとアカンよね。

「うん、分かった。いつにする?今日の帰り?」
「ん?皆の都合も聞きたいし、決まったら連絡するから」
「分かった」

そう言って、この件の会話は終わった。

そして、ご飯を食べに行く日時が決まって、連絡を貰った。
連絡を貰った日の夜。

「名前君、この日にね。優花たちとご飯食べて帰るから、帰ってくるの遅くなる」
『あ?そうなん?たちってことは、優花以外にも?』
「うん、理恵と紗耶香も」
『あ〜、よく聞くメンバーだけど。大丈夫?』
「優花がフォローしてくれるって言ってるし、いつまでも友達を避けるのもねw」
『ごめんな』
「なんで、名前君が謝るん?w」
『確かにwあまり飲みすぎたりしないようにね』
「うん」

ご飯に行く日
私は、優花とこっちのななの友達である理恵ちゃんと紗耶香ちゃんの4人で大学を出た。

電車に乗り、渋谷の方に向かう。

渋谷につくとそのまま私たちは優花についていく。
「今日は何を食べるん?ていうか、お店決まってるの?」
「お店は決まってるよ」
「じゃあ、早く行こうや。お腹空いちゃった」
「お店行く前に合流しないと」
「合流?まだ誰か来るん?」
「え?七瀬、今日のこと聞いてないの?」
「理恵?どういうこと?」

「あ、いたいた」
優花が見ている方向を見ると男性が4人居た。

誰?今まで見たことない。
同じ大学の知り合いではないよな??

私は小声で優花に話しかける
「ちょっと、優花。あの人達誰?」
「え?一人は私の友達。後は知らない」
「はあ?じゃあ、こっちのななとは?」
「初対面じゃない?」
「え?」

「お、加藤」
「久しぶりだね」
優花は、4人の男性のうち一人と話し始める。

「初めまして」
私は、残りのうち一人に声を掛けられた。
「どうも」
私は少し頭を下げた。

「お店こっちだって!」
優花が私たちに声を掛けてきた。
とりあえず、ついて行く。

少し様子を見て、再び優花に話しかける。

「ねえ、どういうことなん?」
「だから、皆でご飯」
「知らん人と?」
「そう。あ、七瀬。今日は彼氏いないって設定でお願いね。」
「はあ?」


ねえ、優花・・・・・
これって、合コンってやつじゃない!?
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