パラレルワールド(AnotherWorld)

□第3話
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朝、目が覚めた。

いつもと同じ天井。
何か悪い夢を見ていた気がする。
家に帰ったら、知らない男の人と女の子がいて・・・・・

横に視線を移すとそこには、昨日知り合った優花ちゃんが寝ていた。

「・・・・・あかんかったか」

一晩寝たら、あれは悪い夢だったのかな?みたいに、全てが元に戻ってることを願っていたけど・・・・・
そうはいかなかったようだ。

どうしよう・・・・・
ベッドの中で途方に暮れていると

コンコン

ドアをノックする音

『七瀬?優花?起きてる??ちょっと、ここ開けてくれない?』
あ、苗字さんの声だ。

私は恐る恐るドアを開ける。

「苗字さん、おはようございます。」
『・・・おはよう、七瀬。ちょっと中に入りたいんだけど」
私が答えると少し間があった、きっと元に戻ってないことを悟ったのだろう。

「え?どうして??」
それにしても、女の子二人が寝ている寝室に入りたいとは一体?
ちょっと警戒する。

『あ〜w、怖がらないでw そこのクローゼットにスーツとかワイシャツとか出勤に必要なもの入ってるんだw』
「あ、そういうことですか」
私は、ドアを開けて苗字さんを中に入れた。

「ん?もう朝??」
「あ、優花、おはよう」
優花ちゃんが私たちのやり取りを聞いて目を覚ます。

「ていうか、名前なんで寝室に入ってきてるのよ!?エッチ!!」
『ドアホ!そこのクローゼットに会社に行く着替えが全部入ってるんだよ!』
「本当に?私たちを襲いに来たんじゃないの?? あ、七瀬どう?」
「どうって・・・・・あ・・・・・ダメだったみたい」
「そっか」

『俺、これに着替えたら会社に行くけど。優花、後の事頼める?』
「うーん、分かった」
そういって、苗字さんは着替えるために寝室を出て行った。


少しぼーっとしていると
着替えた苗字さんが戻ってきた
『じゃあ、行ってくるね。七瀬も優花もあんまりダラダラするなよ?』
「うっさいなあ」
「あ、苗字さん」
『ん?七瀬どうしたの?』
「あの・・・・・いってらっしゃい」

苗字さんは少し驚いた顔をした後にやさしく微笑んで
『うん、行ってきます。なるべく早く帰るようにするね』

そういって、苗字さんは出勤した。

「なんか七瀬、新婚さんみたいだね。なんだかんだこの状況楽しんでない?w」
「もう、やめてよw」
そんな軽口をたたいた後に私たちは朝食をとった。

「七瀬、今日はどうするの?」
「どうするって、言ってもなあ」
「とりあえず、一緒に大学行こうか?」
「え?大学?? 無理無理、何していいかわからんもん」
「そんなに気にしなくても大丈夫だって」
「そうかなあ?」

私は、優花に押し切られる形で一緒にこっちのななが通う大学に行くことになった。
優花と一緒に大きな教室に入る。

へえ、大学の教室って大きいんやなあ

「あ、七瀬、優花おはよう〜」
「え?」
知らない女の子に挨拶される。

「あ、里奈おはよう」
優花が答える
「お、おはよう」
私も慌てて答える

里奈と呼ばれた女の子は手を振ると他の席の別の女の子ところに行った。

「優花、今のは?」
「ああ、彼女は里奈。私たちの共通の友人」
そっか、優花以外にもそりゃ友達いるよね。

「ねえ、優花・・・・・」
「分かってるって、しばらくは一緒にいるから」
そうして、私はちょっとおっかなびっくりなキャンパスライフを楽しんだ。

大学での一日はとても新鮮だった。
まあ、友達とか後輩に声を掛けられるたびにドキドキしてたけど。

私は、大学が終わると部屋に戻った。
優花は今日も泊まろうかと聞いてくれたが、少しずつこっちの生活にもなれる必要があるから、今日は帰ってもらった。
同じ部屋のはずなのに、一人でいつも過ごしていたはずなのに、何か寂しい。

夜になって

『ただいま〜』
「あ、お帰りなさい」
『あれ、七瀬。一人?』
「うん」
『そっか。 あ、寝室で着替えてくるね』
そういって、彼は寝室にスーツを脱ぎ部屋着に着替えてリビングに戻ってきた。
私は、苗字さんが帰ってくるまでに作った晩御飯をテーブルに並べる。

『七瀬が作ったの?』
「苗字さんの口に合うかわからへんけど」
『ありがとう。あ、七瀬お願いがあるんだけど』
「え?なに?」
『その苗字さんって、止めてくれないかな? 七瀬にそう呼ばれると何かフラれた気分になるw』
「そうなん?w 下の名前がいいの?」
『そうだね』
「じゃあ、名前さん?」
『それもなあ』
「名前・・・・・、無理無理、恥ずかしい・・・・・名前君でいい?」
『まあ、今はそれぐらいでいいかw』
「じゃあ、名前君。ご飯食べよう?」

私は名前君と晩御飯を食べて今日あったことを話した。
『大学行ったんだ。どうだった?』
「知らないことばかりで面白かったけど、こっちのななの友達に挨拶されたりしてちょっと困ったw」
『こればっかりは、優花に協力してもらうしかないなあ』
「そうやんなあ。ずっと家にいるわけにもいかんし」
『優花に協力してもらうといえば、バイトも優花と一緒のはずだから、明日聞いてみたら?』
「え?ウチ、バイトしてるん?って大学生ならするか」
『七瀬、バイトの経験あるの?』
「うん、高校生の時にある。こっちのウチなんのバイトしてるん?」
『カフェのバイトだったはず』
「カフェかあ、接客なら何とかできるかなあ」

食事も終わり、後片付けを名前君に任せて、私はお風呂に入った。
次に名前君がお風呂に入っている間にリビングでボーっとする。

今日一日だけで色々なことがあったなあ。
これからどうなるんやろ?
戻れない間はこっちで生活しないとアカンし・・・・・

テレビをつけると音楽番組がやっていた。
-- 次は乃木坂46の皆さんです。 --

テレビで乃木坂が紹介される。
私のいない乃木坂・・・・・
とても切ない気持ちになる。

『ふ〜』
名前君がお風呂から出てきた。

何故か私はとっさにテレビを消した

『ん?どうしたの??』
「ううん、何でもない」
『そろそろ寝る?』
「うん。あ、あの・・・・・」
『大丈夫、リビングで寝るから。でも、また明日着替え取りに入るけど』
「その時は、またノックして?」
『分かった』
「じゃあ、おやすみなさい」

私はベッドに入りながら、さっきのことを考えていた。
テレビで見た自分のいない乃木坂

この世界は西野七瀬のいない乃木坂が存在し続けている。
私は何であの場所に居れないんだろう?

私は乃木坂に必要なの?
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