パラレルワールド(短編集)

□私の必殺技
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私の名前は堀未央奈

つい先日まで、女子大生のはずだったのですが、今は何故かアイドルグループ乃木坂46のメンバーとして生活している。
私は、堀未央奈が乃木坂のメンバーとして活躍する世界に来てしまったらしい。
今はこっちの私の代わりに活動しているというわけだ。


『未央奈ちゃん、どうしたの?』
横に座って話しかけてきたのは、苗字名前。
本来の世界では私の恋人。
こっちでは、違うんだけど今の私を大切にしてくれる人。
だから、こっちの名前も好き

私は、名前とご飯を食べに来ていた。

ただ、不満がある。

「未央奈、食べへんの?」
「そうよ、ほらこれ食べなよ」

何故か、乃木坂メンバーの西野さんと白石さんが同席している。

(なんで、二人っきりじゃないの!?)


「あ、名前君飲み物ないやん、頼まへんの?」
西野さんがビールを飲み干した名前に声をかける。
(それ、私の役目だし!!)


二人には、乃木坂の活動でお世話になっている。
西野さんは同じような体験をしたらしい。
白石さんは西野さんが入れ替わったときにサポートしていたと聞いている。

『じゃあ、ビールもう一杯飲もうかな』
「私が、店員さん呼んであげるね」
白石さんが店員さんを呼ぶ

名前はやたらとこの二人と仲がいい。

(ちょっと、浮気してるんじゃないでしょうね?)
私は横にいる名前を睨み付ける

『ど、どうしたの』
「なんでもない」
私はぶっきらぼうに返答した。

その後乃木坂の活動などの話で盛り上がった。

しばらくして、私は名前にお願いした。
「ねえ、今度のオフにどっか連れてって」
『え?』
「未央奈あんまり我儘言ったら名前君がかわいそうだよ」
「その日、ウチは夕方には仕事終わるし、皆でまたご飯に行かへん?」

二人は、やたらと私が名前と二人っきりで過ごすのを邪魔しようとする。

『そうだなあ』
名前が西野さんの提案に流されそうになる。

(しょうがない、あの技を使うか)

私は、名前の耳の近くに口を持っていき、二人に聞こえないように囁いた

「別に私は、一緒にずっと家でホラー映画を観てもいいんだよ?」

名前の顔が引きつる。
(やっぱり弱点は一緒だな)
そう、彼はホラー映画とかが大の苦手
白石さんはもちろん、向こうで数か月恋人ごっこをした西野さんにも名前の扱い方は負ける気がしない。
あんまりやると嫌われるから、たまにしかやらない私の必殺技

『そうだね、未央奈ちゃん頑張ってるし、息抜きも必要だよね。どこに行きたいの?』
「「名前君??」」

「じゃあ、どこにいくか。後で電話して決めよう」
私は、笑みを浮かべてそう答えた。

そのまま、ちょっと不満そうな二人を見る。
(西野さん、白石さん、かわいくおねだりする以外にもやり方はあるんですよ?)

こうして、私は名前との二人っきりのデートを勝ち取った。

FIN
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