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□僕のコイビト 2
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N「はぁ...」
さっきから溢れてくるのはため息ばかり。
ピチャン...
湯船のお湯を掬って顔に叩き付ける
N「はぁ...」
あぁ、だめだ。
幸せが逃げてっちゃう…。
ガラッ
風呂場の扉を開けて脱衣所に出る。
そこには着替えとタオルの入った籠があった。
N「ん?なにこれ」
タオルの上に小さく折りたたまれた紙が置いてあった。
ニノへ
ごめん。俺、我慢出来なくて。何でもする。でも着替えは着てくれよ。俺、裸で来られたらそれこそ、我慢出来ないから、それだけは頼む...。
襲われたくなかったら、着てな。
N「真面目にこんなこと書くなよな…」
若干引きつつも、襲われるわけにはいかないので着替えることにした。
N「絶対こき使ってやる。」
ぐちぐちと呟きながら僕はあいつの匂いに染まった着替えを着た。
N「っ...!!」
足を上げる度に足首と腰に鋭い痛みが走る。バランスを崩しそうになるが、近くのものを掴み何とか耐えた。
N「はぁッ...」
こんな事態を招いた自分を恨みつつもゆっくりと脱衣所を後にした。
ガチャ...
ゆっくりと脱衣所の扉を開けて歩き出す。
N「いっ...」
足を踏み出す度に鈍い痛みが襲う。その痛みに耐えながら、一歩一歩確実に進んでいく。
N「っはぁ...うぁっ!!」
足に鋭い痛みが駆け抜けぐらりと視界が揺れる。冷たい床に叩きつけられると思った...なのに。
触れたのは冷たく、硬い床ではなく、温もりを持った柔らかい人肌だった。
O「ごめんな、大丈夫か」
N「おっ...の...さん。」
O「痛いよな、ごめん。」
N「っ...。あり...がと」
O「おう。」
触れた人肌は大野さんのものだった。あったかい…。ずっと...このまま...。でも、貴方は離れてゆく...。
"待って、行かないで"
言いたかった。でも、言えるわけなかった。
なんで言いたかったのか分からない。
僕は何を思った。
何を感じた。
何があった。
全てが考えられず、その場で動けずにいた。
O「大丈夫か?立てるか?」
僕の体から離れて行った貴方はそんなことを僕に問いかける。
頭の理解が追いつかず、僕は曖昧に答える。
N「っふぁ...い...。」
そのままゆっくりと立ち上がる。
足には鋭い痛み。腰には鈍く痛みが走る。くらりと体が傾くが貴方が支えてくれた。
O「っと...。おい、乗れ。」
貴方は屈んで背中を向ける。
こんな年で、おんぶだなんて。
でも、このままではどこにも行けないので仕方なく、羞恥に耐えながら貴方の背中に体を預けた。
N「っ...///」
O「動くなよ?」
N「わかってます…///」
1_も動くこと無く、貴方に運ばれてベッドに寝た。