フィブリゾ主な短編物語

□ズルい
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※なにかと平和です。









 ある酒場の寝室で、リナはクレイスの相談を受けていた。リナはその相談内容に、「は?」と素っ頓狂な声をあげて、目の前にいるクレイスに目を見開いて驚く。




「男を逆に襲う方法〜!?」


「わああ〜!リナさんっ、声を抑えてくださいよ!////」




 「うぅ…」と卯なり声をあげて、心底恥ずかしそうに顔を赤めるクレイスに、リナも幾分が落ち着きを取り戻した。しかし、内心ではまだ驚きを隠せなかった。

別に相談を聞くことは珍しいことではない。リナは普段から、クレイスの相談を聞いて助言をしていた。内容は様々だが、夜に来ての相談内容はほぼ恋愛関係で、十中八九フィブリゾのことだ。

 キスをするのも顔を真っ赤にするあのクレイスが、男を襲う方法って……




「あんた、フィブリゾとなんかあったの?」


「…なんです」


「え?」


「わ、私っ!いつも抱かれるとき下なんですっ!/////////」




 カアアアと効果音が付き添うなほど顔を真っ赤に染めて放たれた言葉に、聞いているリナは「はぁ!?」と口をポカンと開いて唖然とする。

そんなリナに、クレイスは打ち明けるように話し出した。




「わ、私、フィブリゾに抱かれるのが、その、気持ちよくて気づかなかったんですけど、ある時気づいたんです。フィブリゾはいつも澄まし顔なのに、その、なんだか、私だけ恥ずかしい思いばっかしてるなって…///そ、それで!」


「フィブリゾの恥ずかしがる姿を見たいって感じ?」


「それです!たまには、フィブリゾの焦る姿を見てみたいなって。
……それに、不安なんです。私は、本当にフィブリゾを満足させているのかなって。

ですから、人生の先輩でもあるリナさんからご意見を聞きたいんですっ!!」




 じっ、と真剣な表情でリナを見つめるクレイス。そんなクレイスの目に、リナはうーんと唸りながらもピコンと何か思い付いたのか、ニヤリと笑った。




「ふふん、いいわよ。そうね、まずは――」














翌日
の、夜




「やぁクレイス。こんばんは。」


「こ、こんばんわっ///」



 ヒュンッ、と瞬間移動して目の前に現れたフィブリゾは、いつものように笑みを浮かべてクレイスと挨拶を交わした。
クレイスは心臓がドキドキしながらも、ぎこちなく挨拶を交わす。




「どうしたの、クレイス。君が森に呼び出すなんて、珍しいね?」


「ふあ!?ぁ、え、えっと!///そ、そうですか?えへへ………///」




 クレイスとフィブリゾは言葉を交わしていく。月明かりが照らす森のある一角の木から、四つの影がクレイスとフィブリゾを観察していた。




「うんうん、出だしはいい感じじゃない。さっすが私ね♪」


「リナさぁ〜ん。もう戻りましょうよ〜。」


「アメリアに激しく同意だ。というか、何故俺まで……」


「いやぁ、それを言うなら僕もなんですが…」




 わくわくした様子で二人を観察しているリナと、若干涙目になって戻ろうと提案するアメリア、そして罰が悪そうな表情を浮かべて木に背を預けるゼルガディスと、リナに捕まって苦笑を浮かべるゼロス。

悶々とした他のメンバーに、リナはジト目で三人を見据えた。




「 なによー、あんたたち気にならないの?
あのいつも馬鹿みたいに初々しいクレイスが、あの陰険根性悪魔族冥王フィブリゾを押し倒すのよ?
なにより、あのフィブリゾが焦る姿なんて、弱味以外なんでもないじゃない!もしもなんかあった時はこのネタで…フフフフフフフフ」




 もはや悪魔のような笑いを放つリナに、ゼルガディスとアメリアは呆れてため息をついた。ゼロスは頬に冷や汗を浮かべてある。視線を再びクレイスたちの方に戻すと、リナはあっと声をあげた。その声に、まぁ三人も気になるのであろう。木からばれないように顔を出して、二人の様子を伺い始めた。




「そろそろよ!クレイス、頑張れ!さぁ、フィブリゾ、たっぷり弱味を見せなさい…!」




 そんなやり取りが行われているなんて知らないクレイスは、その瞬間になるまでドキドキと緊張しながら、会話を続けていた。




「にしても、本当に珍しいね。あのクレイスが僕を呼び出すなんて。ゼロスから聞いたときは柄にもなく驚いたよ。僕が恋しくなった?」


「ぁ、え、あっ、はいっ//// 最近会ってないので、その、寂しくて…」


「クスッ そっか。折角森に来たんだ。この近くに泉があるから、そこに行こうか。」



 クルリとフィブリゾが背を向けた、その時だった。




「(来たっ!)ふぃ、フィブリゾ!////」


「ん?何?クレイ―――」



 フィブリゾが振り向こうとしたその瞬間、クレイスはフィブリゾに駆け寄って、自身の唇をフィブリゾの唇に押し当てた。そして、


    ドサッ……!


 ――月明かりが辺りを照らし写す。満月の光を浴びるその森で写された光景。それは、フィブリゾの上にクレイスは乗っかり、キスを交わしていた。数秒後、クレイスは唇を離し、上半身をあげた。フィブリゾはその行為に驚いて目を見開く。



「…………クレイス?」


「っ…///////」



 フィブリゾが声をかけるが、クレイスは今そんなこと聞こえていない。フィブリゾの声よりも、バクバクと脈打つ心臓がその声を描き消していた。



「(た、確か、次は…/////――)」



 クレイスは次にフィブリゾの首筋に顔を埋めた。そして、カプっとフィブリゾの首筋に歯をたて、赤い跡を残す。そして再び上半身をあげた。



「っ…クレイス、どうしたの?」


「あ、ぅ//// (つ、次、は………/////)」



 クレイスはフィブリゾの服へと手を伸ばす。ドクンッ、ドクンッ、ドクンッと脈はどんどん早くなり、やがてはぁ、はぁ、と肩を上下に揺らして呼吸が荒くなる。手が震える。呼吸が苦しい。

と、その時だった。



「ダメだよ。相手を抱くときは、相手の反応を見ないとね。」


「っ!? ひゃぁっ!///」



 むにゅ、とフィブリゾの手はいつの間にかクレイスの服の下に侵入され、胸を揉まれた。突然のことに驚いて体がビクリと震え、フィブリゾを見た。



「ぁ…!やっ…!いつの間に…っというか、む、胸…!っん、」


「んー?クレイスがいくら声をかけても反応しなかったから?」



 むにゅむにゅとクレイスの胸を弄くり回し、フィブリゾはニヤリとクレイスを見上げる。



「ひゃっ、あんっ、、ん…! やぁん……!!」


「残念だったね、クレイス。というか、誰からこんなことを?いや、言わなくてもわかるからいいや。」


「んっ、あっ、あぅん…!」



 グルンッ、とクレイスの視界が反転する。驚く間もなく、いつの間にかクレイスはフィブリゾに組み敷かれていた。



「さて、と。クレイス、お手本見せてあげる。次からは、ちゃーんと僕を満足させなよ。」



 月明かりに照らされたフィブリゾの微笑みに、ぎゅっ、とクレイスは目を瞑った。そして、首筋に触れる柔らかな感触とピリッとした痛みがクレイスの首筋に走る。



「ひゃぇっ…!?あ…、」



 フィブリゾが顔を放すと、今度はぐいっとクレイスの腕が引っ張られた。クレイスが目を恐る恐る開くと、クレイスの小さな体が、フィブリゾの体のなかに優しく包まれていた。



「あ、の…//// フィブリゾ?」


「ねぇクレイス、続きは別でやろうか。ここじゃ、君が可愛らしく乱れるのをじっくり観察できないからね。」



 どこか企みのある笑みを浮かべるフィブリゾに、クレイスは顔を赤く染めてぎゅっと抱き締め返した。



「ほんとに、貴方はズルいです…!///
でも、大好きですっ////」



 フィブリゾはクスリと笑った。ニヤリと笑った目の方向は、木々の方に向いていた。





















(……何よっ!結局クレイス下になるんじゃない!)
(いやー、冥王様の弱みなんてもうわかりきったものじゃないですか。)
(それもそうですね。って、あれ?なんかこっちに光が…)

((((ギャアアアアアアアーー!!!!!!!))))

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