少女の物語

□一章『謎に包まれし神殿』
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 太陽が真上に来る頃。旅を続けていたリナ一行は、今後の方針にいつてどうするか、歩きながら話し合っていた。



「―さて、これからどうしますかね。」



 先頭で歩いているリナは、両手を頭の後ろで組みながら、後方を歩いている、ガウリィ、アメリア、ゼルガディスにそう問いかけた。リナの言葉に、3人はそれぞれ言葉を返した。



「俺はどこでもいいぞー。とりあえずリナが決めてくれ。」

「う〜ん……そうですね………。
――ここはやっぱり、正義のため!まずはそこら辺の山賊を懲らしめましょう!!」

「却下だ。というか、俺はすでに決まっているだろ。」

「――あぁ、体ね。つってもあんた、なんか情報あんの?」

「今はまだ収集の最中だ。」

「てことは無いってことねー」



 リナは顔を振り向かずに言葉を投げ掛けた。リナの率直な言い回しにゼルガディスは図星とばかりに、フイッ、と顔を背けた。

はぁ〜、とリナは盛大な溜め息を落とす。



「なーんか面白いことないかしらねー。」



 リナがそう呟きながら空を見上げたその時だった。



「それなら、取っておきの場所がありますよ?」

「!、あんた」



 道化のごとくニコニコと笑顔を張り付け、黒き法衣を纏った魔族の神官、ゼロスは、ふわりと地面に着地した。



「いやー皆さんと会うのはお久しぶりですね♪」

「よっ、久しぶりだな、ゼロス!」

「…ガウリィさん、この前普通に私たちの前に現れましたよ。」

「言葉の綾ですよ、アメリアさん。」

「…で、何か用でもあるのか?」



 ジロリ、とゼルガディスはゼロスに目を向けながら、そう問いかけた。この場にいるリナ、アメリア、ゼルガディスは、嫌な予感を感じていた。
ゼロスが大抵こういうときに現れるのは、何か面倒事を押し付ける時だ。そう相場が決まっている。

ゼロスは指をたててコテンと首を傾げた。



「皆さんは、『謎の神殿』のお噂を知っていますか?」


「!、知ってるわよ。“神殿の奥につけない”とか、聞いたことあるわ。
旅をしてたら、普通に聞くからね。」



 リナの答えに、ゼロスはそうですか、とポーカーフェイスの笑みを張り付けたまま返すと、再び口を開いた。



「では丁度いいですね♪ 日頃の感謝をこめて、リナさんたちをその神殿に連れていってあげましょう!」


「は…!?ちょ、あんた何勝手に…!」

「いきなり過ぎてついていけないんですけど!?」


「実は偶々見つけまして、丁度いいですから、それでは、お連れいたしますね♪
えい!!」



「は、ちょっと…!」


「「「「うわあぁ!」」」」



 四人が光に包まれると、もうそこにリナたちの姿はない。
一人残っているゼロスは、ニコリと笑って呟いた。



「いやぁ、すみませんね、リナさん。あそこは“僕達”じゃ行けないんですよ♪」



 ポーカーフェイスの笑みを張り付けたまま、ゼロスは薄く目を開き、ワントーン低い声で、呟く。






























「頼みますよ。永年探し、求め続けている、我らの姫君を――」














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