COLORFUL WORLD
□第9章:Comes princess of Cyan
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「お庭に緑がたくさんあって、素敵な宮殿ね」
「そうですね、ノースポール王国は緑が豊かな国と聞いておりましたが、お庭にも反映されておりますな」
隅々まで綺麗に手入れされた庭を見渡した。見事に刈り込まれた植木が続き、バラのアーチがとても美しい。自国であるアラバスタも美しくとても愛しているが、こんなに緑と水が豊富ではないので物珍しさと感動にいつまでも眺めてしまう。
庭の大きな噴水に目を向けると、大きな人影が噴水の淵に腰をかけていた。よく見ると、先ほど会った元海軍大将青キジだった。
「あら…あなたも式典に呼ばれていたのね」
声をかけると青キジはいつになく悠々と振り返った。
「ビビ王女か。今日はよく会うな」
「‥‥え!王女?!」
そう言って青キジの体の向こう側からひょっこりと顔を出した女性は、先ほど街中でリンゴが美味しいと教えてくれた女性だった。
「あらさっきの!青キジ大将と一緒だったのね。お邪魔してごめんなさい、私はアラバスタ王国のビビです。こっちはペル」
ペルは静かに頭を下げ、一歩私の後ろへ下がった。
「私は、リリです」
女性は青キジの前に出るとペコリとお辞儀をし、少しはにかんだような表情で微笑んだ。
「式典はもうすぐよ。行かなくて良いの?」
そう言っている自分もそろそろ専用の衣装に着替えなくてはいけない。優雅におしゃべりを楽しんでいる場合ではないのだが、この2人はどうみても出席する衣装でもなく庭から離れる雰囲気でもなかった。
「私達はただカシに会いに来ただけなの」
「さっきお見かけしたけど、今日会うのは難しいかもしれないわ。とても忙しそうだったから」
その言葉にリリはしゅんと項垂れた。
「だから言ったでしょうが…」
「カシ王とお知り合いなの?」
「友達なの。でも…もうお友達と呼べない存在になっちゃったな‥」
寂しそうにポツリと呟くので、思わず遠く離れた友達の事を思い出した。
「…友達に、身分なんて関係ないと思うわ。友達は…友達ですもの」
そう、ルフィ達だって仲間。遠く会えない存在でも、口には出せない関係でも。愛おしい仲間達に想いを馳せていると、ふと、青キジの視線を感じ慌てて話題を変えた。
「あ…、えっと、リンゴ!とっても美味しいって、カルーが…いえ、うちのものが言ってました」
リリの顔はパァっと華やぎ手を合わせた。
「そうでしょう?この土地で取れた果物は、甘くて抜群に美味しいの。他の果物もぜひ食べてみて!」
表情がコロコロと変わるリリを見て思わず笑みが零れた。
「ええ、そうするわ!教えてくれてありがとう、良いお土産になりそうだわ」