COLORFUL WORLD


□第8章:White chase
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私は孤児だった。
孤児院で見つけた私をパパとママが引き取ってくれたと聞いている。その後はパウダーリムという村でワインの醸造をしている家で育ち、幼い頃からワイン造りに携わっていた。とても平和な村だった。争いも、脅威もない、それは海軍のおかげだと思っていた。だが、実際は違っていた。私以外の人間はアンドロイドだったから、完全に狂気から避けるようにプログラミングされていただけだった。だが、ある日アンドロイド達の暴走は始まった。そして海軍と戦争になり、パウダーリムと言う村の存在はなかったものにされた。

この日なかったものにされたわけではないのかもしれない。
そもそも、最初から存在などしないよう隠されていた村なのかもしれない。
パウダーリムで醸造されたワインのラベルが良い例だ。パウダーリムの名前など一つも記載されていなかった。

それに私、治癒能力など、どうやって身につけたのだろう。
若が「せっかく俺がやったチユチユの実の能力だ」って言っていた。ただの特異体質ってわけでもなさそうだ。しかし、悪魔の実なんか食べた事も見たこともない。




船に戻るとスモーカーは大きな溜め息を吐いて、コビーとリリを睨んだ。鋭い眼光が夜の海に反射した。

「テゾーロがお前の事実上の飼い主‥‥知らなかったのは俺だけか!!」

「すみません…スモーカー中将。ガープ中将から口止めされていたんです。なので、リリちゃんにも口止めしていました」

「はァ‥‥アイツの話がどこまで本当かは分からねぇが、すぐにパウダーリムのワインを回収した方がよさそうだな」

スモーカーは口から煙を出し、天を仰いだ。

「その成分が仮に能力者にしか作用しないとしても、能力の強化が出来るって事は少なからずその反動もあるはずだ。世に出るには危険過ぎる。まぁ、幸いにも今や高値で市場に出回っている上に、現時点で生産されていないとなればそうそう手に入れるやつも少ないだろう」

「本当に‥‥ごめんなさい‥‥こんな事になるなんて‥‥彼の言う通り、私のせいで二人を…」

「僕たちのことはリリちゃんが気にする必要はありません。それに、ドフラミンゴは利己的な価値観を正当化してるだけですからね!」

「ドフラミンゴの言ってたお前の覇気っていうのは、俺達が体得しているものと少し違う。それに、お前に治癒能力があるかはともかく、『俺があげたチユチユの実の能力だ』って言ってたが、どういう事なんだ?一体」

「私にも、よく分からない…そのハキも、能力も心当たりもないの」

「僕、治癒能力があるって聞いた時、リリちゃんの腕の傷の治りが早かったことを思い出したよ」

「お前、そんな能力が本当にあるのか試して見せろよ。そこにナイフあるから」

「ス、スモーカー中将!なんてことさせるんですか!」

「冗談だよ、冗談‥‥」

スモーカーは軽く舌打ちをしながらポケットに手を突っ込んだ。
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