COLORFUL WORLD
□第8章:White chase
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「あなたの憶測が本当だとしても、パウダーリムは実際には海軍が管轄していなかった‥‥だから、海軍は関係ないのよ」
「フフフフ‥‥ギルド・テゾーロが絡んでいる方が問題だと思うぜェ?」
サクロはその言葉に目を見開いた。
「なぜ‥‥‥そこまであなたが知っているの?」
眉をしかめたスモーカーが言った。
「ちょっと待て。あの黄金帝のギルド・テゾーロ?そいつも絡んでるって言うのか?」
「テメェの縄張りなのに何もかも知らずにいたとは哀れだなァ‥スモーカー、フフフフ」
スモーカーは葉巻を噛み締めた。十手を持つ手が強くなる。
「あれだけ執着して同じものの醸造を望んでいる理由がこれで分かったわ。テゾーロさんはその薬物で能力を強化したかったのね」
「フフフフ‥‥テゾーロが切望しているのは、その先さ」
「先?」
「能力の強化が体の限界を超えた時、高揚感が広がり幻覚が見えるようになるのさ。せいぜい、頑張って復元してくれよ…フフフ…」
サクロは眉頭を寄せ何かを考えた後、首を横に振った。
「造り方を知らないからここに来たのよ。誰がそんな薬物入りのワインを売ろうとしていたのかしら‥‥。テゾーロさんはその造りかたを知らないし、海軍だって知りながらそんな作用の含まれたワインを売るとは思えない」
「何も、ワインを商うことが目的とは限らねェさ」
ドフラミンゴはサクロを見つめ、ニヤリと口角を上げた。ドフラミンゴを巻き付ける鎖が僅かに音を立てた。
「能力をいくら持った所で操る才能がねェお前の能力を開花させるのが意図だったとしたら? 誰の意図かなんて分かるだろう」
「能力を開花?…動物の能力なら開放出来てないよ。未だに猫の声すら分からない」
「‥‥動物の能力?」
ドフラミンゴはいきなり大きい笑い声をあげた。
「お前はあの時の実験がうまく行かなかった本当の理由をまだ分かってねェのか‥‥めでてェ奴だぜ、フフフフッ!!!」
サクロは眉根を寄せ、ドフラミンゴを見つめた。
「そもそも…中身の入れ替えなんて実験、本当に成功するのかどうか」
「実験自体が不成功だったと言うつもりか…?フフフ‥‥舐められたモンだ」
「でも、入れ替えられなかった。それは私が自分の意識を強く保っていただけで‥‥」
「あァ…確かにお前は入れ替えが拒否出来た。それは誰にでも出来る事じゃねェ‥‥お前だったからあの実験が失敗だったんだ」
「私だから‥‥?」
「薬物の作用には少なからず精神面が関わるのは事実だが、入れ替えを跳ね除けられる程、猫の意識になるのを拒絶出来たのは治癒能力を持つお前だったからだ」
「治癒能力‥‥‥」
「お前が自分の能力にもっと早く気付いていれば、猫だって死ぬこともなかっただろうになァ。自分を知らねェってのは愚かだよなァ‥‥フフフ!!!」
サクロは目を見開いた。瞳が細かく震えている。
「宝の持ち腐れとはまさにこの事だ。もっと活用してくれよ。せっかく俺が提供したチユチユの実の能力だぜ?」
ドフラミンゴはサクロに顔を向けた。能力は封印されているのに、手の平を返し指先を動かし糸を出す仕草を見せた。
「無理矢理に引き出してやろうかァ…?フフフフフ!!!!」
「若‥‥‥もしかして、あの時から知っていたの‥‥‥」
サクロは明らかに動揺し、スモーカーとコビーは呆気に取られ何も口に出来なかった。
唖然とする二人の姿を見たドフラミンゴは高笑いを上げ、楽しそうに歯をむき出しにした。ドフラミンゴの笑い声がレベル6のフロアに反響していた。