COLORFUL WORLD


□第8章:White chase
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監獄内は囚人達の悲鳴が絶え間なく聞こえ、何かを訴えるような格子を鳴らす音が響いていた。
脱獄不可能と言われていたこの厳重な要塞インペルダウンは、麦わらが侵入し脱出した場所。結局、侵入も脱獄も許してしまったわけだが、実際、中を見てみると看守はいたる所にいるのに、これだけ広い獄中に自ら飛び込んだアイツがとことん無謀だと思えた。一体どうやって侵入をしたのだろう。

ドフラミンゴのいるレベル6は最下層。大型のリフトに乗るため看守長の女、ドミノが付き添いをする事になった。

「書類で確認しておりますが、そちらの女性は‥‥」

そう言いながら、俺の横にいる女の姿に視線を置いたドミノの言葉が一瞬詰まった。

「一般人と伺っていますので、そのお姿が賢明かと」

リリは頭から足元までケープに覆われ、両眼だけを覗かせていた。ドミノは納得した様子で階下へ降りるリフトへと案内をした。

「ご存知の通り、これから向かうのは最も悪質な海賊共が集まっている所ですから、くれぐれも言動にはお気をつけ下さい」

「‥‥あぁ」


大型リフトに乗り込むと、各フロアごとに断末魔のような叫び声が聞こえ、気味の悪さは増していった。
誰だってこんな所にいては鬱屈するだろうが、浮世離れした女が一人ここにはいる。
恐怖に怯え目を瞑っているのではないかとリリに視線を移してみると、意外にもリリは真っ直ぐにその光景を見つめていた。濁りのない瞳で、反らすことなく目を開いている。
来ると決めたからには、こいつにもそれなりの覚悟があるのだろう。
ここまで来た以上、腹を括って全てを受け止めるしかない。この女が一体何者なのか。ドフラミンゴは何を知っているのか。

『私の名は、ドロイアン・エヴァー・サクロ。リリって名前はクザンが付けてくれたものなの』

打ち明けられた別名の存在。クザンの姓も交えた今のリリの名前を聞いて、コビーは、結婚がどうのこうの言っていたが、あの元大将の事だから、そんなものではないもっと違う意図があるんじゃないかと思えた。まぁ、どこまでの真意があるのかは計り知れないが。

ドフラミンゴとは、本名の時に出会っているという事も気になっていた。とにかく、俺達が安易に口を挟まない方が良いことは確かだ。ドミノの言う通り言動には気を付けなくてはならない。少しでも目立つ動きをしようもんなら、死ぬほど退屈をしている海賊共が、一挙一動に目を向ける事になるだろう。
リフトの降下がレベル5が過ぎると、ドミノが口を開いた。

「スモーカー大佐、次がレベル6です。私はお三方を降ろしたらそのまま階上に戻りますので、時間になったら看守が迎えにあがります」

「あぁ、分かった」

リフトのチェーンが巻き付く金属音が響いていた。
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