COLORFUL WORLD - Spin off

□When you wish upon a star
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「クザン、見てみて、あれ。北斗七星」

リリは光の粒が広がる薄暗い空を指差して言った。

「あ〜?どれの事だ〜?」

「あそこに点々って七個並んでるのがあるじゃない。あれだよ」

クザンは目を細めて空を眺めるがどの星の事を言っているのかまるで分からない。
星なんてどうせ宇宙のごみだしなぁ、なんて夢のない事を思っていたが、リリは目を輝かせ空をずっと見つめている。

「リリ、星が好きならもっと見せてやろうか。」

そう言うとリリは嬉しそうな表情を向けた。

「じゃ、行くぞ。でも寒いからもっと厚着していけよ。」

リリを自転車の後ろに乗せると、海原の上を走り出した。リリは驚いた様子でクザンの背中をぎゅっと掴む。

自転車は氷で作られた海の上の道を進んで行く。
沖へと行くに連れて、どんどんリリの手に力が篭っている気がして、漕いでいる足を止めた。後ろを振り返ると、リリは海の中を覗くようにしているが怯えている様にも見える。

「海の真ん中だと怖ぇか?もう少し凍らすか・・」

そう言うと、氷で作った道幅を広げ、頼りなかった自転車の道筋はもっと確かな陸となった。

「もう少し沖まで行った方がいいな・・」

しばらく漕ぐと、周辺の海水を氷結させリリを自転車から降りさせた。リリはおそるおそる、氷結した海に足を付ける。
しっかりと足が付く事が分かると、楽しそうな表情を見せたがクザンの腕を掴んで少しだけ氷が崩壊するのを恐れているようにも見える。

「ほれ、見てみ。上。」

クザンに促されリリは雲ひとつない漆黒の夜空を見上げると、無数の星が散りばめられ暗いはずの夜空も明るく見えた。

「う・・わぁぁぁあああ!!!!!!」

リリはクザンの腕から手を離し、両手で口を覆うように驚いた姿を見せた。目は落ちてしまいそうな程大きく見開いている。

「すごい・・・こんなに星ってあったんだ・・・」
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