COLORFUL WORLD


□第4章:Pure White Jealousy
1ページ/29ページ

器用に動くクザンの指を見つめる。

大きく太い指からは想像も出来ないほど、細やかに動く。その軟体動物のような滑らかな動きは敏感な所を確実に抑え、体を高ぶらせる。何度その指に快感を覚えさせられたのだろう。
全ての指には意味がある事を教えてくれるように、それぞれの指の役割を果たしながら線を操り、結び、繋げていく。

クザンはジッと見つめるその焼け付くように熱い視線に気付いた。

「なんだ?どこ見てんの?」

声をかけられると、リリは視線に気付かれた事に恥ずかしくなり目を逸らした。

「ん?お前さん、すげぇ顔赤いけど・・・」

リリの顔を覗き込む。瞳は潤み困惑した表情を浮かべながらも、頬は高揚し少し赤くなっている。
なんでリリがこんな顔をしているのかと考えると、自分が今まで数本の配線を操っていた事を思い出す。

冷凍庫の調子が悪くなり、裏側の配線を引っ張り出し直そうとしていた途中だった。

「あぁ・・分かった、ほらここ座んな。」

リリは冷蔵庫の裏側から引っ張り出された配線の前に座らされると、その背後にクザンが包み込むように座り込んだ。

「お前さん、女なのに変わった興味持つなぁ。」

リリの両手にクザンの両手を重ねながら、リリに青い線と赤い線を持たせる。

「これと、これを持つだろ?そしたら、この青い線にくっついてるもう1本の線が邪魔だから、これは薬指で押さえて、赤い線の中にあるこの太い銀の・・・」

頭上からはよく分からない長い説明文が降り注ぎ、背中からクザンの体温が伝わってくる。
クザンの手は私の手を被せるように覆い、指を持たれ動かされているが、線が絡まりそうな程もたついて、クザンの指の動きに全く追いつかない。

「なんだ、お前さん不器用だな。全部の指をちゃんと使わねぇと、いつまで経っても直せねぇぞ。」

「クザンが器用過ぎるんだよ!なにこの指の動き!柔らかすぎ・・・」

クザンに掴まれていた指をリリが今度は掴み返すと、先日の出来事を鮮明に思い出し、興奮が体の奥から湧き上がったのが分かった。

「はは、良いだろう。これでお前さんを喜ばせる事も出来るしなぁ」

そう言うと、リリの唇にそっと指先を当てた。
リリは心臓が跳ねるようにドキリとし、恥ずかしさを隠す様におもむろに立ち上がる。

「お風呂入ってくる!」

そう言うと、さっさと浴室に向かって行った。ぽっかりと空かれた目の前の空間にはリリの香りが僅かに残る。

クザンは訳が分からず、リリの後姿を目で追った。

「・・え?・・・なによ、突然。」
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ