COLORFUL WORLD
□第3章:Maroon and first love
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家に着いてもリリはクザンに抱きついたままだった。
ぎゅっとくっ付いて離れない。
「リリ……そろそろ離れて」
「いや………」
諦めてクザンはリリがくっ付いたまま歩き出す。
バタンと扉が閉まると、カチャカチャとベルトを緩める音が聞こえた。リリはそこがどこだかようやく気付く。
「いやぁぁぁ!!!!!なにしてるの!!」
「何って…お前さんが離れるのいやって言ったんでしょうが」
「ちょ、ちょっと出るから待って!!」
「別に見たけりゃどーぞ」
ズボンのジッパーを下ろす音が聞こえる。
リリは慌てて出て行きドアを閉めた。
「アイツ、相変わらずからかうとおもしれぇな」
まだ、あまり日は経ってないはずなのに、妙に懐かしい。クザンの匂いのするベッドにうずくまると、心の底から安堵しているのが分かった。
「お待たせ、覗き趣味のリリちゃん」
クザンが覆いかぶさりキスをした。
やっぱりクザンとのキスは気持ちが良い。溶けてしまうように。
「ふ…ぅうんっ」
思わず声が出てしまうと、クザンはリリの胸元に手を這わせた。
「ちょっと待って!!先に話がしたい…」
リリはクザンを無理に引き剥がすと、ベッドから降りて向かいのダイニングチェアに座った。
「あらら…素早い」
「クザン…あの……」
「ん?」
「迎えに来てくれてありがとう……」
クザンは頷くように笑みを見せる。
リリは躊躇した様子で聞いた。
「私、ここにいても…」
「良いに決まってんだろ。言っとくけど、お前さんの事家政婦として置きたい訳じゃねぇから」
「私もクザンといたい……」
その言葉には続きがあるように黙るので、クザンは聞いた。
「なら良いじゃない。何か問題あるのか?」
「……私を猫ちゃんと重ねて思われる事が嫌で…一緒に居たいのに、時々苦しくなるの……」
「お前の事、猫と思ってねぇよ。似てる部分はあったけど…あー、なんだ…。…お前さん自身の事が好きなんだからな、俺は」
「ん…うん」
その言葉を聞いて表情が少し柔らかくなったのだが、まだ戸惑っている。
「ん?俺の事嫌いなの?」
「ううん、好き。すごく好きなんだけど…こーゆう気持ちが上手く説明できなくて…だから、どうしたらいいのか……」
リリは全身が桃色に高揚し、困惑した表情をしている。
明らかに好意がある事は見て取れるし、一緒に居たいとも言う。だけど、苦しい時がある。
サクロの言った事を頭の中で整理し、その想いを思い浮かべる。
クザンは、恋もした事がなかったのかと思った。
リリの様子を見ていると、遠い昔にあったような、ないような初恋を思い出し、気恥ずかしいような甘酸っぱい気持ちになった。
「あ〜……あれだ。お前さん、そりゃ恋だ」
「え。恋…?」
「そう。好きだけど嫉妬したりして苦しいんだろ?」
「…クザンの事思うと、胸がドキドキしたり締め付けられたりして……こーゆうの、恋って言うの?」
リリは胸を押さえギュッと目を瞑り、震える瞼をゆっくりと開ける。潤ませた瞳で、苦しそうに顔を赤めクザンに視線を送った。
「お、おぉ………。なんか、お前さん見てると、こっちまでドキドキしてくるな……そうだ、それは恋だ。俺まで緊張してきたぞ……」
「じゃあ、クザンも私に恋してるって事?」
「へ?いや………してねぇな、悪いけど。お前につられてドキドキしちまっただけ」
「…!!」
さっきの赤らめた顔とは違い、口をあんぐりと開けショックを受けている顔に変わっている。
「あっはっは、お前さんの、その顔。百面相すぎだろ」
リリは視線を泳がせながら俯いている。
「なぁ、」
クザンはそっとリリの頬に手を沿えると、顔を上げさせ、言った。
「俺はおまえの事を愛してるんだよ。恋よりも、もっと上の気持ち」
「え…」
「愛おしくてたまらねぇ…」
そういうと、力強くリリを抱きしめる。リリの体はクザンの胸板に押し込められ、すっぽりと覆いかぶさる。
「クザン……」
クザンは抱きしめていたリリの肩を持ち言った。
「まァ、お前はまだ俺に対して恋してるだけだけどな」
「…え!?そ、そんな事…」
「でも、どーゆう風に違うのかって言われても難しくて説明出来ねぇなぁ……」
クザンは少しだけ考えた様子だったが、すぐに考えるのを止め、リリの手を取りベッドへと引っ張った。
「そんな事より、こっち来な。早く抱きてェ」
「え、えぇっ、いきなり?!」
「いいだろ、ずっと我慢してたんだから」
「は、話まだ終わってないよ!!」
「えェ?他に何が聞きたいのよ」
クザンはベッドに腰をかけた。リリは正面に立っていて、まだ何かを言いたそうにしている。
「……クザンは私じゃなくても出来る?」
「なに、出来るって。何を?」
リリは言いづらそうに視線を泳がせる。
「…あぁ、アレね」
クザンは何て答えようか考えている。
正直なところ、下半身なんて別物だし全然出来る。
でも、リリの言ってる、出来る出来ないは気持ちの面でって事だよな。要は、したいかしたくないかって事だ。でもそれ言うと、好みの女見ればヤリたくなる欲望はあるわけだしなぁ。困った……
「おまえと出会ってからはしてねーよ」
「急に出て行った、雨の日は…?わたし、見たの…女の人といる所」
「あらら、見られちまってたのか」
「………」
「だから、してねぇって。あの晩も」
途中までしたけど、そこは目を瞑って貰おう。
「そうなの…?」
「ふーん、お前さん、ヤキモチ妬いてたんだ?」
「…クザンは私が誰かとしても平気なの?」
自分の感情がヤキモチだとも気付かないまま、リリは純粋にクザンに問いかける。
「平気じゃねェよ」
ジロリと睨むような視線をクザンは送った。
「だから、これからは俺以外とすんなよ?」
まるで、ドフラミンゴと関係があったのを見据えているような発言に、リリはドキリとした。
無言でうなずく。
「って言っても、おまえ隙だらけな上に、男の事何も分かってねぇからなぁ…俺よりある意味タチが悪いっつーか」
クザンはぶつぶつと独り言のように文句を言っている。
「あ…でも…色々ゾロに教えて貰ったから、一応気をつけてるよ」
クザンは怪訝そうに細い目をしてリリを見た。
「なに。お前さん、まさか、ロロノアともヤッたの?」
「し、してないよ!!!ゾロは男だけど、私といてもそういう風にはならないって言ってた。だから、大切な事たくさん教えてもらったの」
「はぁ、そりゃ硬派な男だな。でも、男はみんな狼なんだから油断はすんなよ」
「う〜ん…難しいね、見極め方が。場数を踏まないと分からないのかな」
「お前さんは踏まんでよろしい」
クザンは眉尻を下げリリを引き寄せ腰に手を回した。抱き締めながら深く一息をつく。
「……もう、いい?」
リリはどうしよう、という顔をした。思いついたように言う。
「さっきの、愛してるって、もう1回言って…」
「おまえなァ……」
「言ってくれるまで…しない」
「…そーいうのは何回も言うもんじゃねェの」
「本気だからね!」
クザンは真剣なリリの眼差しに根負けし、口にする。
「…愛してるよ」
「ふふふっ。いつも苛められてるから、お返し。でも、言わされた感があるから、もう1回かなぁ」
ちょっと悪戯っぽく笑うリリだったが、とても嬉しそうに顔をほころばせた。愛しているという言葉は不思議だ。クザンに言われると胸が熱くなる。
言わされたクザンは照れくさそうに頭を掻いた後、リリの手を引き自分の方に引き寄せた。
「俺を辱めようなんて、100年早ェ」
「じゃあ、しない!」
わざとらしく、ぷい、と横を向く。
「あぁ、もう、悪かったよ。愛しくてたまらねぇ。だから、早く、やらせて」
リリを膝の上に跨らせ、衣服の中を弄っている。クザンの行動は加速していく。
「や、やらせてって……何か、嫌だなぁ…」
クザンはリリを抱きすくめ、首筋に顔を埋めた。
「早く、繋がりたい、お前と…。おまえの中に、早く入れたい。本当に、もう、我慢出来ねぇんだよ…」
リリは、一瞬だけ見えた泣きそうな顔をしたクザンを、心底愛おしいと思った。
二人は会えない時間を埋めるかのような、長いキスをした。リリはクザンの硬くなったものを取り出し、自分の秘部に押し付ける。
じょじょに、蜜を帯びると、クザンのものを飲み込み、ゆっくりと揺れた。