COLORFUL WORLD


□第4章:Pure White Jealousy
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「クザンさん、うちで今夜、20周年を記念したパーティを開くんです。良かったらお二人でいらしてください!」

クザンとリリはいつもの酒屋でワインを買っていると、若い店員が話をかけてきた。

「パーティねぇ・・・」

クザンは考えている様子だが、リリは体を弾ませ嬉しそうな表情に変わる。

「はい!外部からの人間はほとんど来ないので、安心して来て頂けますよ」

クザンはリリの方を見ると聞いた。

「リリ、行きてぇか?」

「うん、行きたい!」

「ま、たまにはそーゆうのも悪くねぇか。じゃ、二人で行くから頼むよ。」

クザンとリリは酒屋を出ると、喜んでいるリリに声をかけた。

「じゃ、早速ドレス買いに行くぞ。」

「え?」

「お前さんの普段の服装じゃさすがに浮いちまうだろうからな。」

二人はドレス店に入り店内に飾られているドレスを見て回るとリリは1つ手に取り、試着室に入って行った。

クザンは店内のドレスに目をやり面積の少ない布地にマジマジと目を移す。今まで見慣れていた筈の女の露出がある装いも、リリが着るとかと思うといたたまれない気持ちになって頭を掻いた。

試着室からリリが出てくると、予想以上の露出にクザンはギョッとした。

柔らかな胸には谷間が寄せられ、ほっそりした肩幅に美しい鎖骨が描かれている。ウエストのラインを際立てるようなリボンの絞られたデザインに、太ももが際どい所まで見える程に短いスカート。少し動きを加えるだけで、揺れ動くシフォンのデザインは、ふわりと揺れるたび、艶かしい足が見えドキリとした。

「わぁ!このドレスとっても可愛い〜!これにしますっ!」

リリははしゃいで、クルクルと揺れ動いて見せたが、クザンは下着が見えそうで冷や冷やしていた。

「・・・やめときなさいよ。」

「え?!なんで?!」

「こっちにしな。」

咄嗟に、すぐ傍にあったドレスを手に取り渡す。
リリは面白くなさそうに口を尖らせたが、クザンが手に持ったドレスに目をやると、すぐに表情を明るくさせた。

「・・・あ、でもこれも可愛いかも。ちょっと着てみるね!」

次に着たドレスは、光沢のある黒の布地。キャミソール型の膝丈スカートで、少し大人っぽいワンピース。

「あらら、こりゃ可愛いな。・・・ん?」

しかし、リリは角度を変えながら全身鏡に映すとVネックが深く先ほどのものよりも胸の谷間が見えた。しかも、尻の形が分かる程ににピッタリとしたタイトなスカートで、太ももの上までスリットが入っている。いやらしさ極まりない。

「これは大人っぽくて素敵!じゃあこっちにしまーす!」

クザンはさっきの方がよっぽどマシだったと思い、若い店員の女に話をかけた。

「・・・なぁ、姉ちゃん、ちょっと・・露出が激しすぎねぇ?もっと、控えめなやつねぇの?」

リリはその言葉に反抗するようにクザンに言葉を投げかけた。

「えぇ?!自分でこれにしろって言ったのに・・」

店員は困った様子で答える。

「パーティ用なので、どれも露出がある仕様になっておりますが・・こちらはいかがでしょうか?」

落ち着いたデザインのベージュのワンピースを持ってくるとクザンは「こっちにしとけ」と言ったが、リリは譲らなかった。

「クザン。この黒いワンピースにする!」

「さっきの白いひらひらしたドレスのがまだマシじゃねぇの?」

「これが欲しい。」

「やめとけって・・・。」

「さっき、可愛いって言ったじゃない!」

「可愛いけど・・・」

「クザンこーゆうの好きでしょう?よくこーゆう格好した女の人見てるじゃない。」

一体どこで見てたのを言ってるんだ・・・。
色っぽいバーの店員を見ちまった時か?それとも、昔家に転がってた雑誌の事?とにかく、何気にえれぇ所見ていやがるな・・。

クザンは気まずそうに、やり場が無くなった目線をリリにチラリと落とすが、リリは真剣な表情でクザンの瞳をジッと見つめている。

「いや・・・・お前さんにはちょっとなぁ・・・」

「クザンが好きなら、買う!!」

頑なに譲らない。
リリがそこまで頑固に物言うのは珍しく、よく分からない不機嫌な様子がなくなるならと思い、クザンは諦めて購入を決めた。

「あ〜、分かったよ・・・。んじゃ、これね。」

リリは満足そうに満面の笑みを浮かべると試着室のカーテンを閉めた。
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