COLORFUL WORLD
□第3章:Maroon and first love
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自宅に戻ると、クザンは疲れた様子でベッドに腰をかけていた。朝食以来まともに話をしていない。なんだか目も合わせてくれないし、そっけないような気もした。
リリはクザンに様子を伺うように話かける。
「クザン・・・」
何も返事をせずに、ベッドに仰向けになって天井を見ている。
明らかに態度が変なクザンに耐えかねて言った。
「どうしてそんな態度なの?やっぱり、まだ怒ってるの?ちゃんと言ってくれないと分からない・・・」
震える声を出しているリリに気付き、体を起こしてリリの方を見る。
「いや・・別に怒ってるわけじゃ・・・」
リリは少し目に涙を溜めている。
「ごめん、悪かったよ。つまんない態度とっちまったな・・・。」
クザンは起き上がるとリリの腕を引き寄せ肩を抱くと、考え込んだ様子で話をした。
「なぁ、リリ。俺たちの関係を周りに聞かれたら、恋人だって言っていいぞ。」
「え?でも、この前・・・・」
「お前に殺意が向くのだけは避けてぇけど、俺がずっと一緒にいりゃ問題にはならねぇしなぁ。」
リリはクザンの思惑を感じ取っていた。
クザンにはまだまだやらないといけない事があるのも知っていた。そうすると、私の傍から離れられなくなって、足手まといになるに決まっているし、リリは何がなんでもそれだけは避けたかった。
「私、クザンの傍にいられれば良いの。クザンの気持ちもう知ってるから。だから、別に気にしないで。」
一呼吸おいて口にした。
「・・・本当に可愛いんだから、お前さんは。」
クザンはリリを見つめるとうな垂れるように抱きしめ頭を寄せた。
二人はそのままベッドに横になると、クザンはリリの髪を摘み弄んだ。
「なぁ、最後、ヒノキに何て言われたんだ?」
「強くなって迎えに来るから待ってて。だって」
「へぇ〜。でも、まぁ、あと15年はかかるよなぁ・・。」
ぼんやりとクザンが呟くので、リリは起き上がってクザンの顔を覗くと聞いた。
「クザンは私がプロポーズ受けても平気なの?」
「そうねぇ・・、アイツ意外と素直で根性ありそうだから、成長具合によっては託すかな。」
クザンはリリの顔を見る訳でもなく、天井を眺めながら答える。腕にはリリを抱きしめながら続けて口にする。
「あと15年後って言ったら、俺、結構ジジイだぞ。生きてるかも分からねぇし、今みたいに守れるかもわからねぇしなぁ・・・それよりは・・。」
溢れるようにリリの目から涙は零れ、次から次へと頬を濡らしている。
「あらら、なに泣いてんの・・・」
驚いたクザンは起き上がって、俯くリリの顔を覗く。必死な顔を向けると、言った。
「だって!!クザンが生きてるか分からないとか言うから・・・お願いだから、そんな事言わないで。」
そういうとまたボロボロ涙を流す。
クザンはリリを抱きしめながら「ふふ」と笑みを零した。困り果てた様子で呟いた。
「本当、お前さんにはかなわねぇよ・・・死なねぇから泣くなって。誰か不老不死の薬くんねぇかな・・・。」