蛸の夢
□「友達」
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ーー爽やかな朝、清々しい空気、賑わう町。
その場に気怠げに立つ俺は、さぞかし正反対の印象を持たれるんだろう。
目の下のクマ、青白い顔、自分の欠点を挙げていくとキリがない。
見た目なんざ、アースラ様が下さった仮の姿であり、前まではどうでも良かったはずなのに俺は何をこんなに気にしているのか
その日は珍しく朝早く起きて、
久々の休暇だっつうのに何となくあいつが気になり、
前に来た道を辿り彼女の家を探した。
「……此処だな、…」
暫く街を歩き回って、家は見つけたものの何と声を掛けて開けてもらうべきか悩んでいた。
扉の前で難しい顔をしていたら不意に頭上から
「……エイトフット?エイトフットね!」
二階の窓を開け外を眺めようとしていたエリシアと目が合った。
彼女は俺を見つけるなり、慌てたように階段を駆け下り騒がしく玄関を開けた。
「久しぶり」
満面の笑みで、あまりにも嬉しそうにするもんだから俺もつられて小さく笑った。
「よう。………エリシア」
俺が照れ臭そうに名前を呼ぶとエリシアはまた更に口角を上げ、目を輝かせて喜んでくれた。