例えば、君がいたとして。
□水蒸気
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部屋に響く時計の音
ぐちゃぐちゃに散らばったスリッパ
力が抜けた大ちゃんの腰と膝に腕を回し抱き上げる
所謂、"お姫様だっこ"ってヤツ。
そのまま寝室まで連れて行き、ベッドに下ろせば、大ちゃんの香りがふわりと寝室に広がる気がした。
いつもなら抵抗してくる大ちゃんの手ももう温もりを持たない 動かない
ベッドに横たわる大ちゃんの頭の中はきっと、全部全部俺なんだ
俺と同じ。じゃなきゃ、だめなの
ずっと想いあってないと。
時計の針は戻せても時間の軸は戻せない
大ちゃんの過去が変えられないんじゃ仕方が無い。
また大ちゃんの頭が俺以外で埋まっちゃう前に、そう思って手に取ったナイフにかかる赤黒い液体はきっと俺の愛のシルシ。
だから愛して、大ちゃん