ツキウタ。のゆめ

□夜が冷奴を作ってくれる話。
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「はぁー今日もよく働いたなぁ。」
今日は通販のカタログ用の写真撮影で
意外と着替えに手間取っていつもより遅くなってしまった。

電気ついてないけど、
共有スペースのぞいとこ。

「ただいま〜」

「おかえり。遅かったね」

「えっ夜さん!?こんな遅くにどうしたんですか?」

「ななしちゃんがお腹すいてたら困るかなーと思って。待ってた」

「そんな、待たなくてもいいのに...」

「お腹すいてないの?」

「えと、ぺこぺこです...あああああでも明日は水着の撮影だから食べられない...」

「えっ......」

あ、夜さんがフリーズしてしまった。
手を顔の前でぶんぶんふってみる。

「よ、夜さーん。大丈夫ですかー。」

「ごっごめん。ちょっとびっくりしちゃって。
ほら、あの、そういうのってちょっとななしちゃんには早いんじゃないかなとか
でもそれはちゃん自身が決めることだし...」

「やるの、嫌だったり...しますか...?」

「えっ、別に嫌ってわけでは、ないけれど...」

「じゃあ、いいですか?」

「そっそれもちょっと...やっぱり、彼氏としては
ほかの男に見られるようなのはちょっと...」

「大丈夫ですよ!女子高生向けの雑誌ですから!」

「本当に?」

「はい!発売になったら、本屋さん行ってみてください。男一人では絶対に買いに行けませんから。」

「う、うん。そっか、わかった。」

ぐぅきゅるるるる〜

「あ、」

「ぷっ...」

「あ、笑いましたね!」

「ごっ、ふふふ...ごめん。何か食べなきゃ眠れないんじゃない?冷奴とかどうかな」

「あっ、食べたいです。」

「準備するから、座ってていいよ」

「ありがとうございます。」


ちょっとすると、鰹節がかかった冷奴が出てきた。

「いただきまーす。あ、これ白だしもかけたんですか?」

「うん。ななしちゃんすきだよね。」

「はい。さすが夜さんです。」

「大切な彼女さんのためだからね。」

こういうの結構さらっと言うよなぁ。
年上の余裕ってやつですか。ちょっとずるい。

「あ、照れた?」

「照れてないです。」

「ふぅん」

仕返し...できるかな

「嘘です。大好きな彼氏さんに言われて照れないわけないじゃないですか。」

「っ!」

夜さん、面食らってる...!
やればできるじゃん、私。

「ごちそうさまでした。」

お皿を洗って戻して、夜さんの隣に座りなおす。

「ちゃん、明日がんばってね」

「ありがとうございます。がんばります。」

なんとなく離れがたくて隣で座ってたら、12時をすぎたのに気が付いた。
「もう今日に、なっちゃったので部屋に戻りますね。」

「あ、うん。そうだよね。さっきのもっかい言って?」

「部屋に戻りますね?」

「や、そこじゃなくて。なんとかな彼氏さんに...ってとこ」

「......」

「冷奴のお礼にさ」

「...だいすきです。」

「ありがとう。」

ふいに手が伸びてきて頭を優しくなでた。

「おやすみ。」

「お...おやすみなさい。」

(ず、ずるいし夜さんから好きって聞くの忘れた...)
(だいすきの笑顔は反則...)
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