短編集

□☆ 脇役である僕についてのつまらない話
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簡単で呆気なかった。

所詮人間はそんなもので、仕方ないことだな。そんなことを思った。

この学園は男子校で、生徒達はほとんどがゲイかバイという大変な学園だ。

僕はとある理由があってこの学園にきたが、もうココには僕の居場所はない。

あの転校生君が生徒会の役員達を籠絡(こんな言い方は悪いとは思うが使わせて貰う。自分の中で使うくらいなら、神様も許してくれるだろう。)してから、僕は要らない存在になった。僕を可愛がっていた生徒会役員たちは、転校生君を溺愛している。

だから、僕はもう消えなくてはいけなくなってしまったのだ。

僕の正体は淫魔である。

とある理由というのは、天界で好き放題していた僕が、神様に罰せられて、人間の性欲を集めてこいと言われてしまったのだ。

神様は言った。

「お前には今から地上へ行って罪を償って貰う。人間どもに必要とされなくなったら
、そこがお前の運命の終わりだ。」

僕はまぁ仕方ないと思った。それくらいのことを僕はした。それこそ男も女も、食い散らかした。

だからって性欲満載の男子校に編入させられたのはどうかと思ったが。

僕はそこで生徒会役員達、風紀委員達、親衛隊達、同室者、教師、清掃員、ウェイター、コック、部活の先輩、後輩、理事長に至るまでに犯された。

おかげで貞淑だった後ろの排泄口はもはや性器と化してしまった。

もう誰も抱けない身体にれてしまった僕は、学園の男達に抱かれてそれはよがった。男達はそんな僕に気を良くしていたのだ。

あの転校生が来るまでは。

転校生は手始めに副会長を落とした。

例によって副会長の不自然な笑顔を指摘した。

つぎは会計で、あの下半身ユルユルな男が転校生のためにセフレを切ったらしい。

無口な書記は、転校生の明るい態度に癒されたらしく。

双子庶務は簡単にどちらが誰かを当てられて、転校生を気に入って。

風紀委員は生徒会達の親衛隊による制裁にめげない心の強さに惚れて。

僕の大切だった、会長は、転校生の初心で純真な処か好きになって。

何故か僕の悪い噂が広がって、僕は学園中の嫌われものになった。

地上に降り立った時から、終わりは予想していたけれど。少しだけ悲しかった。

神様が言っていたとおりに、理事長室へ向かう。

「お前が人間どもに必要とされなくなったら、理事長室へ向かえ。」

「理事長は学園のなかで1番偉い人間だ。それ位わかれ」

「あと、お前の顔は今より醜い顔にしてやろう」

神様は直に僕の顔に触れ、僕の顔を作り替えた。なんだか懐かしい。自分で言うのもなんだが、黄金色に輝いていた髪は真っ黒に、透き通るような蒼の瞳は焦げ茶色に、通っていた鼻筋は低くなり、まるで別人になってしまった顔を見て、僕は愕然としたものだ。

考え事をしているうちに理事長室に着いた。これで僕の淫魔人生も終わる。

僕は覚悟を決めて、大きく威圧のある、その扉を開いた。
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