短編集

□細くて長いチョコレート菓子の日
1ページ/1ページ

「なぁなぁ、今日なんの日が知ってる?」

髪を金にそめた如何にも馬鹿な親友が、阿呆を丸出しにしながら俺に話しかける。後ろに隠しているのは、例のあの菓子だ。

「知ってるぞ。」

読んでいる本から目を離さずに、答える。

「第一次世界大戦停戦記念日だろう?」

すると親友は目に見えてテンションが低くなった。とてつもなくわかりやすい反応はいつもの事。...4月に彼女が出来たと嘘をついた時は泣きそうで。おめでとうなんて白々しすぎて少し可愛そうなくらいだった。が、だからこそ虐めたくなるだのが。

「...なんだそれ、男子高校生のセリフじゃねぇよっ!」

ふざけたように笑いながら、菓子の箱を突き出す。

「今日は、ポッキーの日だろ!」

わざわざ買って来たのだろうか。

「......菓子メーカーの経営戦略にまんまと踊らされた馬鹿、というところか?」

「おれは馬鹿だけどいまお前がバカにしたって言うのはわかるぞ」

チョコレート菓子を箱から取り出し、袋をさきながら言う。

そして1本を咥えた。

冗談っぽく、親友は

「ポッキーゲームでもする?」

こいつは、馬鹿だ。

「あぁ、いいぞ?」

「えっ...」

親友が咥えたポッキーの先を、舌で捉える。チョコレートがいつもより甘く感じた。そのままサクサクと食べ進めると、案外まだ幼い親友の顔が、とても近くなる。

頬は紅く染まり、腰は引けている。俺は、親友の腰を抱き、さらに唇を合わせた。咀嚼途中だった甘い菓子が、口腔内で混ざりあう。

唇から漏れる熱い吐息を塞いで、舌を絡める。時折静止を乞う様に、ワイシャツを掴んでいた親友の手は、くたりと背中にまわされていて、

親友は息も継げないほどになっていた。

ようやく唇をはなすと、銀糸がとろりと唇同士を繋いでいた。気持ち良さから涙目になって口元を拭う親友は、とてつもなく卑猥だった。

「なに、すんだよ...」

否定的な言葉とは裏腹に、親友は頬を染めて気持ち良さそうにしている。

「ポッキーゲームするって言ったのはお前だろ?」

つ、と指で首をなぞると、ひくりと身体がふるえた。

「だからって、あ、あんなキスする必要ないだろ!」

「......気持ち良かった癖に」

「......っ!」

煽るように言うと、さらに頬を赤く染め、言う。

「...だってお前が、好きだから」

やっと白状した。ずっと前からわかっていた事だったが、本人から言われたらこうも煽られるとは。

「俺も、好きだ」

親友は泣きそうな表情から一転、照れたように微笑んだ。

「嘘じゃねぇ?」

「本当だ」

「浮気したら許さねぇ...」

「...こっちのセリフだ」

そしてまた、キスをした。













よく分からないend☆

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ