二次創作

□ジョーカー・ゲーム 「眠りについたあと」
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三好が、ドイツへ行く前日。

不意に、不安が胸をついた。

いつもは三好からの恋人ごっこ。

俺は、その日、三好を誘った。

...............

「...不安、なんだ」

暗闇に溶け込みそうな声。

「どうしたんです、佐久間さん」

いつもの飄々とした声に安心する。

「お前が、何処か遠い所へ行ってしまう様な気がするんだ」

三好は、蝋燭で照らされたその整った顔を、少しだけ歪めた。そして笑む。

「なんですか、それ。不吉ですよ」

手を伸ばし、俺の頬に触れる。

「僕が貴方を置いて逝くとでも?」

腰を抱き寄せられる。

「そうだな、」

目を閉じると、熱い唇同士が触れ合った。




.....................


「...っあ、三好...っ!」

深くまで交わり、瞳を合わせる。

「佐久間さん...っ」

繋ぎ合わせた手は熱く、絡み合う。

涙が溢れるのは、虚しくなったからなのだろう。

こんなにも、身体は求め溺れているのに。

俺は三好の本当の名前すら知らないのだ。

それでも

「好きだ...っ三好...」

三好は、子供にするように髪を撫でると、

「僕もですよっ...佐久間さん...っ」

一夜の甘い睦言は、闇に溶けて消えていった。
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