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□コドクな剣士 後編
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「見つけた」

声に気づきロイは振り向く。そこにはラグネルを構えたアイクがいた。獣や人間でも斬ったのだろうか。ロイの服や剣は血塗れだ。アイクを見据える目は青色ではない。夜の闇より暗い黒だった。

「お前っ!」

「・・・」

地を蹴りアイクに迫る。構えていたアイクは素早く反応する。剣と剣がぶつかり合う音が辺りに響く。アイクは強引に押しのけ横薙ぎに剣を払う。受け止めずにロイは後ろへ後退する。
身軽なロイはアイクの懐に入り一閃。幸い防具で攻撃を防ぐが一撃で使い物にならなくなってしまった。一旦退き仲間を呼ぶことも出来るがそれまでに被害が拡大する可能性が高かった。

(一気に片付ける)

体勢を低くしロイに詰め寄る。居合斬りだ。力のあるアイクに敵わず後方へ飛ばされる。
起き上がったロイは無言で力をためる。剣に纏わりつく炎が黒い。

「まさか・・」

考えより先に身体が動いた。この辺りは草木が多く火が付けば被害はタダでは済まない。ロイの周りにも黒い炎が舞い上がる。

「間に合え!!」

辺りに爆発音が響く



ロイが見たのは辺りが焼け野原、では無かった。ラグネルに蒼炎を纏わせ己の剣を受け止めるアイクがいた。その顔は火傷を負っている。服で覆われているが身体の方にも火傷を負っているように見える。

「お前、何を考えてる!」

顔を上げロイに向かって叫ぶ。その時に見たのは黒い目から一筋の涙を流すロイだった。

「助け・・・て・・」

それを聞きアイクの目つきが変わる。

「だったら歯を食いしばれ!」

ロイの剣を弾き飛ばす。無防備のロイに向かってラグネルを突き刺した。背後で剣が地面に刺さる音がした。

「がっ、あっ・・・」

吐血し地面に落ちた血は焼けるような音を立て血が付いた草は枯れてしまった。
剣を抜き地面に倒れる前にロイを支える。助けたとは言え傷が深く意識は落ちていた。

「世話のかかる嫡男だな」
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