短編

□雨上がり
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私は梅雨が嫌い、そもそも梅雨が好きなんて人はいるんだろうか?


外に出れば濡れるし、家に居れば暑い。


予報では昼からが雨だと言っていたのに、現在10時…外は既に土砂降り状態。


──── やる気なんて皆無だ。


『暑い〜…』


ソファーの上で伸びていた最中、ピンポーンと鳴り響く呼び鈴に重い体を動かした。


ガチャリと扉を開ければ其処に立っていたのは雨に濡れた私の愛しい彼氏こと宮田一郎だった。


「濡れた、寒い」


二言だけ吐いた彼はポタポタと水を滴らせながら家の中へと入っていった。


『……あのさ、先ずは脱ぐとか拭くとかしてから家に上がりませんか、一郎くん。お陰で私の家は水浸しなんですけど。』


彼の後を歩きながら私は悪態をつく。


「シャワー、借りる」


そんな私を他所に、彼は慣れた足でお風呂場へと向かった。


『着替えは?』


「前に泊まった時のジャージ出しといて」


普段と変わりない言葉を交わせば私は彼の言うとおり、以前泊まった時に置いていった彼のジャージを取り出し、タオルと一緒に脱衣所のカゴにそれを置いた。
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