SecretΔOrder

□03 試練は交錯する
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 そして何より一番やばいのは……

……ははっ、いいでしょう…アイツは絶対殺す。ドラゴンは死ね

 明らかに苛立っているイツキが口元に笑みを浮かべながらドラゴンとマモノを見据えていた。

「やっべ、いっつー本気出す気!?」

「さぁ、どうでしょう……ねっ!!」

 跳躍したと思えばティラノザウラスをブレイブソードで切り捨てる。
 …ダメだコレ、ガチギレ5秒前って言ったところかな!

「…大丈夫なのかい、あれ」

「うーん。やっべぇスイッチ入ったかも…!正直あまりよろしくないね!!!」

 それにイツキは昔、ドラゴンと戦っていた時…狂ったように泣いて笑いながら、返り血浴びまくっている状態で思いっきり殺しにかかるという飛んでもない戦い方をしていた。
 …それと比べればはるかにマシだ、と伝えると零夜が若干引いていた。

「これでマシ、とは…」

 ダンッと音を立てながら距離を取り、騎士の恵みのスキルで回復を行うイツキ。
 ……昔の彼にはあり得ない光景だ。

「…そうだねぇ、あの頃のイツキを一言で言い表すと…【狂気】だねありゃ…。それと比べたら本当にマシだよ」

「(どれだけ酷かったんだろう…)」

 明らかに零夜にドン引きされてるのはわかる。
 というか当時の私らも引いていた…というよりは少し怖かった。
 ……本当、少しずつマシになっていって今の状態になったような物だし…80年かかったのはある意味伊達ではないね…。

「とはいえ…このままイツキに任せっきりというのもどうかと思うのだけどね…。【僕】なりにやらせてもらおうか」

「ん、良いと思うよー」

 零夜の言う通り、イツキ一人に任せっきりというのはさすがに宜しくない。…まあそれでもどうにかなっているのが恐ろしい所だけれども…。
 一応リジェネレーター等のバフを入れているとはいえ……大半のマモノとドラゴンを蹴散らしている。

「んにゃー…無茶苦茶だけど、それがイツキの戦い方といえばそうなんだよねぇ…っと。」

 普段とは違うキーボードを出現させる。
 …私も一発くらいかましてやろうかな、と思いまして。

「オペレーションQ.E.D、発動です!」

 いつも以上に複雑、しかし確実にコマンドを打ち込んでいく。

「超銀河座標系──チートサクセス!」

 最後のコマンドを打ち、空を見上げる。
 きらり、と遠くで何かが光るのが見えた。着弾まであと、3…2…1!

 ──ドオォォォン!

「天罰ジャック2021!──証明完了です!」

 衛星から放たれたレーザー攻撃がドラゴンとマモノに命中する。
 敵のいくつかはハッキングに成功している様子。そこそこいいダメージが出たのだろうか、何体かは消滅していた。

「ふっふーん!これくらいはやれなくもないんですよーだ!」

「へぇ……【君】もあの連合宇宙軍大尉みたいな攻撃が出来るんだ」

「あー…テヤァの人だっけ、確かに似てるよねぇ、この秘奥義」

 いつかコンパスの試合を見ていた時の事を思い出す。
 確かにハッカーやエージェントの秘奥義である「衛星をハッキングしてレーザー攻撃を放つ」というスキルと似たようなヒーロースキル(HS)を見たことがあった。

「さて…出来ればあのマモノやドラゴン達を一か所にまとめる事は出来ないかな」

 零夜がこちらをチラ、と見ながらそう言う。

「だってさ、いっつー。いくつかはさっきのでハッキング出来たけど残りが…」

「問題ないですよ、ボクが足止めしてみますので」

「りょっか!それじゃあやるぞー!」

 マッドストライフ.xのコマンドをアレンジしながら打ち、イツキの方へ視線を投げる。
 それに気づいたのか、こく、と彼が頷き返し

「ボクが怖いんですか?」

 わざと目立つように、音を立ててマモノとドラゴン達を挑発した。
 挑発が効いたのだろう、ドラゴンやマモノがイツキの方へ向かって行く。ハッキングしたマモノ達もそちらに向かわせた。
 
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