bluemoon
□2話 独り
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『お母さん、私にはいとこいないの?おじいちゃんやおばあちゃんは?』
小学生の頃、この質問をよく親にしていた時期があった。
周りの友達は、正月には親戚で集まるし、いとこ、なんていう人と会っている。
ただ、羨ましかった。
家族の事は好きだったけれど、他の人がみんな持っているものを自分だけが持っていないのは、少し寂しかった。
「お父さんもお母さんも、親の顔を知らないのよ」
『ふぅん』
そんな事を言われても小学生の私にはよく理解できなかった。
中学に上がると、いつもより少し真剣な顔をした両親が全てを話してくれた。
「私たちは、孤児だったの」
えっ……
私には両親がいるし、この2人がいない世界を想像できなかったから、つい絶句してしまった。
「孤児の面倒を見てくれるところで出会ったのよ」
『……だ、っ……だから、親戚がいないの……?』
突然の衝撃にしどろもどろにしか言葉を紡げなかった。
「そうね……あなたが中学生になったら伝えようと思っていたの」