長編〜T〜
□普通の記者ではないんです
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アカネが目を覚まさないまま、ポートランドではある事件が起こっていた。
レナードも、ニックたちに呼ばれ、署に戻ることになり、心配を抱えたまま病院をあとに。
彼女の病室から人が居なくなった時、医者が経過観察に部屋を訪れれば、途端に取り付けていた機械がけたたましく鳴り響き、心停止になったアカネ。
慌ただしく、医者や看護師が手を尽くすも一向に回復しない事に、諦め始めた頃、誰にも気付かれずに1人の女性が入ってきたと思えば、その女性の目が青く光らせ、中で動いていた医者達の動きが止まった。
それを見届けると、女性は鞄から両方が頭になっているヘビを取り出し、黒い頭をアカネに向け、赤い頭を自分に向けると、そのままお互いの心臓にかぶりついた。
次第に、女性の方は顔色が悪くなっていき、反対にアカネの方は安定していった。
一通り作業を終わらせると、蛇は無残にもベッドの上に落ち灰になり、女性はその場に崩れ落ちた所で、周りの動きも再開。
医者達は、アカネの容態が元に戻った事に驚きつつ、そこに蹲っている女性を気にかけた。
診断し、異常は見られないと判断され医者達は出ていくと、女性は立ち上がり、苦しい表情から穏やかな表情で眠るアカネの頭を優しく撫でれば、ゆっくりと目を開け、女性の姿を確認すると、驚いたように口を開いた。
「エリ…ザベス……」
エ「おかえりなさい、アカネ」
「どう、して……」
理由を聞き出そうとするも、エリザベスが、それを遮った。
エ「何も言わないで。今は、ゆっくり休んだ方がいいわ。」
その声に、アカネは開けたばかりの目が自然と閉じていくのを感じ、気が付けば再び眠りに落ちた。
病院から連絡を貰い、ニックと共に駆け付けたレナードは、病室に入るなり目を見開いた。
レ「母さん」
ニ「え?」
エ「ショーン」
目を閉じているアカネの傍には、レナードの母親が。
そして、さらに彼らを驚かせることが。
レナードが、アカネの反対側に行けば、気配を感じたのかゆっくりと目を開けた。
レ「アカネ!!」
「…ショー、ン……」
聞きたくても聞けなかった声に、彼が思わず抱き締めると、アカネも優しく彼の背中に手を伸ばし撫でた。
レ「どうして……」
「あなたのお母様が、助けてくださったの……」
レ「母さんが?」
エ「1度、心停止したのよ。そこを、私が。」
レ「心停止?!」
「らしいわ。……ありがとう、エリザベス。」
エ「いいえ、気にしないで。ショーンの大事な人なんだから、助けるのは当たり前のことよ」
3人で話が進む中、明らかに空気のニックとハンク。
それに気が付いたレナードは、エリザベスに彼らを紹介した。
レ「2人とも。こちらはエリザベス・ラッセル。私の母だ。
母さん、私の部下のニック・ブルクハルトとハンク・グリフィン」
母親だと紹介され、ニック達はおどろいたのか、呆然とエリザベスを見た。
すると、レナードは冗談混じりに顔は少しいじっていると言えば、アカネも、彼らを見た。
「ニック、ハンク」
ニ「大丈夫か?その、体調の方は」
「ええ、お陰様で。心配かけさせたわ……ごめんなさい」
ハ「無事だったよかった。また話せて嬉しいよ」
「ありがとう、ハンク。」
エ「ところで?何故、彼女がこうなったのかしら」
エリザベスの質問に、アカネもあの時の事はあまり覚えていないのか、レナードの方を見た。
レ「アカネは……王家に仕えていたスチュワードに命を狙われた」
「私が?どうして……」
レ「さぁな。私ならまだしも、アカネが狙われるはずがないんだが……」
「……そう言えば、トラブルが妙な事を聞いてきたの。撃たれる前に」
レ「妙な事?」
「そう。ジュリエットは金髪の桂を持っていたかって。」