長編〜T〜
□普通の記者ではないんです
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ポートランド市警で警部の座に着く、ショーン・レナードは、ブルーのワイシャツに真っ赤な血を付け、病院の一室におり、悲痛な様子で手を握っている彼は、ベットで横たわり、ベットの上で目を閉じている女性を見ていた。
女性の名は、アカネ・シェイド。レナードの婚約者だ。
たまたま、用があった彼女は同じ市警の人間である、ニック・ブルクハルトの家に向かったところ、彼の家の同居人 テレサ・“ トラブル ” ・ルーベルを庇い、後からやってきた王家の殺し屋によって撃たれた。
それを発見したのが彼であり、レナードもまた、彼女の妹でもあるアダリンド・シェイドによって、グリムの力を失ったニックを助けるべく、緑色の薬を持って家を訪れていた。
手術は成功したものの、出血多量で損傷も酷く、時期に腎不全を起こすと言われ、危篤状態へと変わった彼女。
少しでもそばに居たいという思いで、その場から離れずにいると、不意に病室の扉がノックされた。
レ「どうぞ」
そう一言いえば、そこから現れたのはアカネの友人で、スパイスショップを営んでいる、ロザリー・カルヴァートとモンローだった。
ロ「アカネは?どんな感じ?」
レ「手術は無事に済んだが、出血多量で損傷が激しく、時期に腎不全になるらしい。危篤状態だ」
モ「そんな……本当に?」
ロ「あぁ、嘘でしょう、アカネ…嘘って言って……」
レナードの報告で、ロザリーは彼女に駆け寄れば、優しく手を握り頭を撫で、モンローは信じられないとでも言うように、呆然としていた。
ロ「昨日、トラブルから、アカネが銃で撃たれたって聞いて、本当に心配だったのよ。」
モ「ニックはグリムじゃなくなるし、アカネは危篤状態……こりゃ、ますます新婚旅行どころじゃなくなってきたぞ」
レ「なに?ニックがグリムじゃなくなっただと?薬を持たせたのに、飲まなかったのか?」
ロ「飲まなかったんじゃなくて、飲めなかったのよ。
私とモンローの知人は、全員ヴェッセンよ。トラブルはグリム。突然現れた彼女に、式は大混乱。」
レ「式?」
モ「昨日は、俺とロザリーの結婚式だったんだ。」
ロ「アカネにも招待状を送ったんだけど……仕事で行けそうにないって」
レ「あぁ、そうか…おめでとう。彼女に変わってですまないが」
ロ「ありがとう
……あなたも、辛いでしょう?」
レ「……あぁ。だが、1番辛いのはアカネだ。我々で、娘を黙って奪ったんだ。」
ロ「っ……えぇ、そうね」
モ「でも、あれは仕方なかった。……違うか?」
ロ「いいえ、そうよ。きちんと、話して納得してもらったわ。」
娘 ダイアナを黙って誘拐した時を思い出すと、ロザリーは顔を伏せそばに居るモンローに寄りかかった。
ロ「アカネ……目覚めるといいわね。私たちも、どうにか出来ないか探ってみる」
レ「すまない。」
ロ「アカネ…また来るわね。」
看護師が来たのを、遠目から確認すると、ロザリーは一言それを言って手を離した。
モンローと共に扉へ向かうと、レナードは何を思ったのか、2人を止めた。
レ「もし……アカネが目を覚ましたら、彼女と結婚しようと考えてる。」
ロ「まぁ!本当に?」
レ「その時は、君たちを呼ぼうと思う。来てくれるか?」
レナードの問いに、ロザリーはモンローと顔を見合わせて、ニッコリと頷いた。
ロ「ええ、もちろん。」