探偵たちと!

□寒くなってきたね
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「やばいメチャクソ寒い」
やぁ皆さん元気ですか?
てか俺のこと覚えてる?
え、覚えてる?……やだ嬉しい(トゥンク)


『ねぇ那前、ちょっといい?』
「…?いいよ、どうしたんだ蘭ちゃん」

綺麗な満月が印象的だったいつかの夜から幾らか経った、いつも通りのある日の休憩時間
いつもは園子ちゃんとふたりして笑顔を振り撒きながら話しかけてくるところだが、今俺の教室に来たのは何やら不安げな顔をした蘭ちゃん一人だけだった。
ははん、蘭ちゃんのこれは絶対何かあるな。
もしかして、最近の俺の中での重大事件になっている新出先生突然の休職と何らかの関係があったりする…?

『ジョディ先生のことなんだけど…』

あ、なかったわ

「……あぁ、なんか怪我して入院したらしいね」
『うん…それでね、一緒に先生のお見舞い行かない?ジョディ先生、那前に話したいことがあるらしくて』
「俺に?…いや行くけど…今日部活お休みだったな」

一体なんだ?
私がいなくても英語ちゃんと勉強しなきゃダメよ、とかそう言う系?いや、そんなこと言うためだけに呼びはしないか。学校の先生じゃなくて蘭ちゃんが言いに来たってことは、学校関係じゃない可能性もあるし。
まぁそれはジョディ先生本人に聞けばいいことか

『じゃあ、放課後また迎えに行くから』
「なぁ蘭ちゃん、俺見舞品どうしよう…アメリカで見舞品の定番とかあったりするのか…?」
『(…那前って変なとこでこだわりたがるよね……)』


――――――――――――――


『Oh妙地サン!来てくれたんデスネ!』
「アー…ジョディ先生怪我大丈夫ですか?」
『Yes!ここのドクターはちょっと大袈裟ネ』

そういえば俺ってこの世界に来てから親族以外の見舞いにしか行ってない気がする。不思議だ。まぁそんなことはどうでもいい。
個室のベッドから俺たちを迎えてくれたジョディ先生。蘭ちゃんに道すがら聞いた話では、夜の港でプラチナブロンド美女から身体に鉛玉を撃ち込まれたらしい。ちょっと状況が想像できなかったが、今会った限りでは顔は健康そうだしとくに痩せた気もしない、今はだいぶ良くなっているのだろう。

『じゃあ那前、私外で待ってるから』
「え、あぁ、うん?」

何故か病室から出ていった蘭ちゃん
なにも言わないジョディ先生
戸惑う俺
え、聞いてない、マンツーマンとか聞いてないぞ蘭ちゃん。それは言っといてくれないと心の準備とかほら、いろいろあるじゃん。そう言うサプライズは求めてないぜ蘭ちゃん。カムバック蘭ちゃん。

『那前くん、もう蘭さんには話してあるのだけれど』
「あ、ハイ」

いきなり神妙な顔と流暢な日本語で話し出したジョディ先生、そしてそれにテンションがいろいろ追い付かない俺。つらい。

『私はこういう者なの』

彼女から見せられた黒革の薄いそれは、パスケースだと思っていたがどうやら彼女の身分証明らしかった。
真っ先に目が行く『FBI』の文字、ファーストネームのあとに続いているのはサンテミリオンではなくスターリング、あぁそんな感じだった気がする。

『…驚かないの?』
「えぇ、まぁ…身体の動かし方的に、そうかなって」

本当のことなんて言えるわけねぇ…アニメで見てたので知ってます、とか普通に頭のおかしい奴じゃねぇか…

『…あなたたちといると、いつも私のほうが驚かされてばかりね』

あなたたち、ってコナンのことか?止めてくれアレは特別な訓練を受けたただの能力チートなんだ。一緒にしないでくれジョディ先生

『じゃあ早速で悪いけれど、アナタにFBIの捜査官として聴きたいことが幾つかあるの。良いかしら?』
「えぇ、どうぞ?俺に答えられる事なら」
『ありがとう。まず、私があなたたちの学校に潜入していた訳を話さなくちゃね。あれは――――――』

ジョディ先生(あ、捜査官のほうがいいのか?)から話を聞いた俺の感想はただひとつ
「あ、アニメとかでよくあるやつだ」だった。すまんな凡庸な感想で
それから、俺にされたいくつかの質問だが、何となく要領を得ないものがほとんどだった。蘭ちゃんとの帰り道に考えても身に覚えが無さすぎて戸惑う。俺の頭が悪いからか?この世界でFBIに入れるくらいだから、ジョディ先生も所謂天才か何かなのかもしれない。
全く、頭の良い奴等の考えることは凡人には理解できない。
今一番の衝撃は新出先生すり替え事件だったわけだがな…あ、まずいショックがじわじわ来る…嗚呼…恋しや新出先生(本物)……

『那前、なんか来たときより痩せた?』


――――――――――――――

『ハァイ、クールキッド。』
『経過は順調?ジョディ先生』

那前は知らないのだ

『恐ろしいわね、彼。私が普通のALTじゃないってこと、薄々感付かれてたみたい』
『あはは…那前兄ちゃん、時々ものすごく勘が鋭い時あるから』
『どうやら彼も、あの女との接触については自覚が無いみたい。』

二人が帰ってしばらくの病室で、一人の女性FBI捜査官と、一人の小学1年生が彼について話していたことを

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