探偵たちと!

□楽しい英会話教室
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学生の本業は勉強だとみんなは言う。
実際そうだと思う。
学園祭が終わって、皆の意識は中間試験に向けられるようになった。
何回も繰り返しているので楽勝かと思っていたが、何故かちょっとずつ問題が変化しているので侮れない。
とりあえず微分積分は滅びろ。
ついでに英語。


「(……いい天気だなぁ)」

俺は背が高いので、席替えのたびに後ろの方に替わってくれと言われる。
今回もそうだった。
窓側の一番前になるはずだった俺は、窓側の一番後ろになった眼鏡女子森嶋さんに交替を申し出られ、最終的にこの排他的イケメンの席を手に入れた。
この席になってからは、時たま小鳥の囀りに誘惑され外を眺めていることが多くなった。
今日はすずめが鳴いていた。
見上げた空は青かった。
かといっても陽射しは強くなくむしろ穏やかで、うろこ雲もまばらに浮かんでゆったり空を流れている。
散歩日和というやつだろうか。
ひさびさに散歩するのもいいかもしれない。


新一は学園祭と翌日の全体清掃が終わると、また高校ではなく小学校に通い始めた。
長期間新一に戻るのは難しいのかね、大変そうだな。
あいつ、高校の出席日数は大丈夫なのだろうか。
まぁ、大丈夫か。主人公だしあいつ。

いやぁ、空が青いな。



『Hey,Mr.妙地?ワタシの話、聞いてマシタカ?』
「…あ、Sorryジョディせんせー」
『Oh〜チャント聞いてないとダメネー?』

おかしいようでちゃんとした日本語で俺を諫め、板書を再開するために生徒に背を向けた彼女を、改めてまじまじと観察してみる。
足長いよなぁ。

2学期からALTとしてウチに来たジョディ・サンテミリオン先生は授業内容はさておき、嬉しいことに日本語が堪能だった。
しかもだいぶ美人だということで男子に評判らしい。
サラサラの短いブロンドに白い肌に空色の虹彩、高い鼻にどこかのモデルみたいな躯、それらに隠れて目立ちはしないがなかなかに逞しい手。
FBIだったっけ、それともCIAだったか。
やっぱFBIか、なんかいっぱいいた気がするし。
キャメルさんだけは覚えてる。


『じゃあMr.妙地、コレ、Englishに訳してクダサイネー』
「…彼女は急いでいたので、制限速度の50マイルよりも速く運転してしまった。……As she was in hurry,she has driven faster than 50 miles of the speed limit.」
『ンー、Ok!グットデース!』

そして彼女は、何故か俺ばっかり当てくる。
つらい。
俺があなたに何したって言うんだ。


あーなんだろう、今ものすごく散歩に繰り出したい。
森林公園とかいいかも。



そう思い立って、休日公園に来てみたが…

『あー那前お兄さん!』
『公園で会うなんて、奇遇ですね!』
『なぁ!兄ちゃんも俺たちとサッカーしようぜ!』

これはちょっと想定外だったわ…


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