探偵たちと!

□中止になりました
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おめでとうございます。
本日の学園祭は俺の予定通り中止になりました。
清水をシメ損ねたのは残念でならない。
そうです事件です。
しかも被害者はここのOB。
やっぱり来たのは目暮警部と高木さんたち。
あと美白に目覚めたらしい服部平次も来ていた。
体育館は突然の異常事態にざわついている。
まぁそうなるわな。

俺としてはそれよりも、もっと別のことで驚いている。
舞台袖の器具室で園子ちゃんからの説明が終わった今でも、ちょっと頭が追いついていない。

「へー…じゃあ今あそこでチョロチョロしてる黒衣の騎士の中身が新一ってわけか」
『チョロチョロってアンタね…でも来てくれてほんとよかったわよ。新一君なら、すぐに解決してくれるだろうから』

新一、元の姿に戻ってるらしい。
そして新出先生に替わりスペイドとして劇に飛び入り参加していたらしい。
道理でハイタッチしてくれないわけだ。

『あーあ最低ー…変な事件は起こるし、劇は中止になっちゃうし、おまけに雨まで降ってきて…お祭りムードが台無しよ。ね、先生?』
「俺も先生の騎士姿見たかったなぁ、残念」
『仕方ありませんよ…また今度ってことで、今回は諦めましょう』

さすが新出先生、人間ができている。

『あ、アンタまだ脱いじゃダメよ那前。後でスタントマンとして皆に紹介しなきゃ』
「そんなことわざわざ言わなくていいって…」
『じゃあ皆には新一君が全部やったみたいに見えるけどいいの?』
「それはなんかヤダ」

ところで、あのチョロ騎士が新一なら、蘭ちゃんのそばで大人しくしているコナンくんはいったい誰なんだ?
いやコナンくんなんだけども、そういう意味じゃなくて


―――――――――――


『なぁ、あとどれくらいで解決しそうなんだ新一?』

事件の真相が見えた達成感で注意力が散漫になっていたらしい俺は、背後からやって来たもうひとりの幼馴染みに気づけなかった。

「うお…って那前かよ…ん?なんでA組のお前が黒衣の騎士の格好してんだ?」
『まぁそれは追々…』

そう言って頬を掻く那前は、仮面を外しているところ以外は俺と同じ黒の衣装を纏っていた。
悔しいがかなり様になっている。
にしてもこの幼馴染み、仮面をしているのによく俺だと判ったな。
もしや園子め、おれのこと那前に話したな?

『園子ちゃんから話は聞いたぞ。蘭ちゃんとチューできなくて残念だったな』
「う、うるせぇよ…それより、犯人もトリックも分かったから、あとは確認するだけでそんなに時間はかかんねぇと思うぜ?…なぁお前10円玉持ってねぇか?」

おれの質問に、パタパタと自分の身体中を探る那前。
何に使うのか聞かないってことは、こいつももしかしてトリックが分かっているのかも知れないな。
それより那前、衣装姿なんだから今持ってる方がおかしいっての。
気づけ天然野郎
あとその勇ましい格好でパタパタなんて可愛いことしてんじゃねぇよ、ギャップやべぇぞ那前。

『……持ってないな。すまん』
「だろうな…どうする?終わるまではい…コナンたちのそばで待ってるか?」
『いや、園子ちゃんたちにもうそろそろ終わりそうって知らせねぇと。じゃ、頑張れよ新一』

言いながらひらひらと手を振り去っていく那前。
振り返り際、騎士のマントを翻したのはカッコつけてるつもりなのか?
まぁカッコいいけれども。

今のやり取りで得たものもあったし、良いとしよう。
俺の発言に何の疑問も持たなかったところをみるに、そういうことなのだろう。

「あいつ、やっぱり気づいてなかったんだな…」

コナンが俺だったってことに。





――――――――――――


10円玉なんて何に使う気だったんだあいつ。
無かったから聞けなかったが、あの顔はきっとろくでもないことに違いない。
多分服部平次あたりが持ってるだろうから、そいつらから借りればいいさ。

「はい…ハイバラ…灰原哀…なるほどなぁ、そう言えば居たなぁそんなキャラ…」

俺としては知りたいことも知れたし、良しとしよう。

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