探偵たちと!

□家族旅行に行く
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『3日間も母さんと那前に会えないとか死ぬから。ほら、那前も3日間もとうさんに会えなくなるなんてかなしいよな?』

『そんな、だっで、いくら寂しくたって…那前は保育園が…グズ……あるのよ?』

「(そんなん言うなら涙しまえよ母さん……)」



父さんが仕事で3日間京都に出張に行くらしいんだが読んでわかる通り、親どもが寂しいと駄々をこねている。

実はこのまま両親が順調に昇進していけば、12年後くらいには仕事がクソ忙しくなって家族が全員家にいるなんて2ヶ月に1日あるかないかわからないくらいになるのだが、今がすでに地獄な父さんたちが知るはずもない。

幼かった時(前世な)はどっちかの出張に付いていってそのおまけに旅行をしていたらしいから、今のうちに家族旅行を満喫しようとした俺は、ワガママにノることにした。

「さみしーな、一緒に行っちゃだめ?」
だって京都だぞ京都。生八ッ橋食いたい。

俺の保育園はわりとユルいらしくて、お休みは快くもぎとった。
母さんめっちゃガッツポーズしてた。
おみやげは買っていこう。

まぁ、名探偵とは少しでも関わる機会は減らしたいしな。よかったよかった。




さすが観光名所、とにかく人が多い。
修学旅行シーズンだからか余計にわやわやしている。ウキウキである。




ガヤガヤ…


「………」


ガヤガヤ…


周りを見ると人、人、人。


ガヤガヤ…


両親のかげはなし


ガヤガヤ…


うーん…



「困った」



【俺、遠方にて迷子】




(え、俺一応17なんだけど……迷子……)

生八ッ橋の試食に目がいって母さんの手を離してしまったのは明らかに俺が悪い。
でもまさか一瞬ではぐれるとは、どうやら俺はまだ3才としての自覚が甘かったらしい。

3才の目線から世界を見渡してみると皆が巨人に見える。いちいち顔を認識してると首が痛くてしょうがない。
壁の中に100年いた覚えはないが、前までは俺が見下ろして泣かす立場だったぶん、余計に屈辱的かつ恐怖である。帰ったら牛乳飲もう。


人の流れと人口密度からして、二人を追いかけても顔が見えなくてすれ違いになる可能性が高い。
ここでしばらくじっとしていよう。会えなかったらどうしようと思ったが、まぁその時はその時だ。案内所とかあったっけ。


さっきから親切そうな大人たちがチラッチラッと俺を見ながら通り過ぎて行くが、できれば話しかけないでほしい。迷子とか恥ずかしすぎて言えない。

『ボク、どうした?ひとり?』

フラグですね知ってました

この子中坊くらいか?
地毛?日サロ?
めっちゃアムロ声じゃん。

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