トリガーハッピーと銀の弾丸

□く
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バーボンが一緒にご飯に行ってくれなくなった

スコッチがいたときは、誘えば来てくれたのに、最近は5回誘って1回来てくれるかどうかになった。
ライがいれば、100パーセント行かなくなった。
スコッチがいなくなったからか、と俺が聞けば、ハハまさか、とバーボンは呆れたような、嘲るような顔で答える。
だがそう答えたあとは、俺から目をそらして、決まって数秒真顔になる。

俺だって悲しかったんだから、スコッチと仲の良かったバーボンが悲しくないはずがない。裏切り者だろうがなんだろうが、大切だと思った人間の死は誰でも悲しんでいいものだ。
スコッチを撃ち殺した張本人のライだって、あいつの死は惜しんでたってのに
何故バーボンは悲しみを隠そうとする?

『得体の知れない相手に悲しいかと問われて、素直に悲しいと答えるやつは少ない』
「……てことは俺バーボンからしたら得体の知れないやつなのか…?」
『安心しろ、俺にとってもハンター、お前は得体の知れないやつだ』
「えぇなにそれ……」

組織のなかでは俺が先輩だけれども、人生の先輩は間違いなくライの方なので、ライが任務終わりに一人でブラブラしてたところを捕まえて、最近疑問に思ってることを聞いてみることにした。
最初はちゃんと教えてくれるかと思ってたが、なんかよくわかんねえ回答しかしてくれなかった。
そうだった、こいつら頭いいんだった。

『……もし俺がNOCだったら、お前はどうする』
「は?」
『有り得ないことじゃないだろう、奴らは擬態が巧い。疑い出したらきりがないがな』

やけに真剣な目だった

「…どうもしねえ。他のやつがNOCだったらどうかはわかんねえけど、ライのことは名指しで指示がでない限り、俺はなにもしねえと思う」

『NOCの意味を分かっているのか?この組織を滅ぼさんとする、警察組織から潜ってきた鼠だぞ』
「……ぶっちゃけ俺、この組織が続こうが滅ぼうが、どっちでもいいっていうか…忠誠心?とかねぇし……あ、でも逮捕されんのは勘弁」
『フ、随分虫がいいな』

真剣だったり呆れたりニヤついたり、今日のライは表情の変化が多いな


『滅ぼうが構わないなどと、俺にそんなこと聞かせてよかったのか?』
「ハハ、ジンならぶちギレ案件だろうがな、いいよライは。お前も好きで組織にいる感じしねえもん」

『…わかるのか』
「それくらいならわかるぜ」

「目が似てる。明美さんと、シェリーと、……スコッチと。」

3人の名前をあげた途端、面食らったような顔をしたライ。やっぱり今日は表情が豊かだ。
ところで俺にばかり喋らせたライは、俺にそんな質問をしたライは、どうするのだろう

「……ちなみにもし俺がNOCだったら、ライはどうすんだ?」

『俺は上の指示に従うだけさ』
「ライらしいな」
『俺にはそれしかできん』

そう言ってスコッチを呷り、氷だけになったグラスを見つめるライ。
俺が好きな色、深碧の眼
照明がグラスを反射してか、なぜだかすっげえ、キラキラしてた
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