トリガーハッピーと銀の弾丸

□さん
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今日も楽しいお仕事だ、と言うか俺って義務教育終わってからそれしかすること無いんだよな。
あ、諸星くんは今日いないんだぜ。俺モロホシくんが『諸星大』って名前だってわりと後で知ったんだよな。学がない?よくわかったな。

『―コッチは準備OKだよ、ソッチはどうなんだいハンター―』

最近のインターカムは音質が超クリアになって技術の進歩を感じる。俺は旧式にあったあの微妙なノイズが何気に好きだったから、それが聴こえなくなって残念っちゃ残念。

「こちらハンター、大丈夫だぜどうぞー」

それよりもキャンティの声は旧式の機械越しでもキンキン聞こえるのに、新しいのはよりキンキンがクリアに響いてくるからそのうち誰か鼓膜を痛めやしねぇか心配だ。

『――そろそろ、ターゲット来る――』
「あーい、じゃあ後は手筈通りにー」

今日の仕事は、最近組織に対して何かよからぬ事をたくらんでいるらしい(ジン談)傘下の企業の社長サンをひとけのない倉庫に呼び出してOHANASHIからの取引、の監視だ。此方側に対して変な仕掛けしたり堅気じゃないオトモダチを呼んだりしてねぇか、一般人が邪魔しに来ないか、とかを社長サンが此処に到着してから全てが終わるまで見張るって言うやつ。いっちまえば今回俺たちはただの見守り隊だ。つまんね。

「こちらポイントA、指定時刻15分前だが社長サン到着ー、約束通りひとりで5番倉庫に向かってるぜー」
『――想定の範囲内だ、支障はねぇ。これからも抜かるなよ――』
「あーい了解」

こんなことをずっっとしなきゃなんねぇ。
今日はドンパチも無しだ。
まじつまんね。

因みに今日のOHANASHI担当はジン(withウォッカ)だったりする。あいつ話は詩的過ぎて何言ってるかわかんねえくせに本人は真剣だから適当に聞き流してっとぶちギレて面倒臭いとこになるんだぜ?身内以外だとさらにぶちギレ率が上がって高確率で最終的にはあぼーんよ。
独りでびくびく待っててやっと現れたのがあんなおっかねぇ見た目の沸点低め殺戮ポエマー(withゴツいヤクザ)とか可哀想すぎるわー社長サンがんばがんばー

「こちらハンター、なーなーキャンティとコルンって今日はこの仕事で終わりだろ?この後メシ行こーぜどうぞー?」
『――オレ、行っても良い…――』
『――じゃあ、コルンが行くならアタイも行こうかね――』
「おっしゃ」
『――ハンター、これ兄貴にも聞こえてっから、後でやった方が良いですぜ――』
「あ、ジンとウォッカすまねぇ。……ふたりも行くか?」
『――いや、遠慮しとく――』

ジンとウォッカはまぁ見ての通り仲良しこよしだが、キャンティとコルンも何気に仲が良い。
あからさまに態度が変わるとかじゃないけど、コルンと一緒にいるときのキャンティは周りへのツンツンがちょっと減るし、キャンティと一緒にいるときのコルンは口数がちょっと増える。今日だって二手に分かれるときは何も相談してないのにいつの間にか自然と俺が独りで倉庫前方のポイントA、キャンティとコルンで後方のポイントBになってた。べ、べつに寂しくなんてない。ないったらない。

寂しくなんてないが、いいなーとは思う。俺も相方みたいなの欲しいなんて、たまに考えたりする。新しく入ってきた猫目アゴヒゲのあの子も偵察役のベルモット曰く浅黒金髪イケメンくんと早くも仲良しっぽいし。俺だって誰かと仲良くしたい。

そうだ、諸星くんはどうだ?狙撃の腕は良い感じだったし、頭の回転も速め…諸星くん絶対そのうちコードネーム貰えそうなんだよな…つまり長い付き合いになれそうではあるよな?お?いいんじゃね?どうアプローチしていこうか…
「友だちからお願いします」とか?

友だち…友だちかぁ……

「……へへ…照れる………」
『――うるせぇぞハンター――』
「ジンごめーん」
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