トリガーハッピーと銀の弾丸

□いち
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トリガーハッピー:銃器を扱う際に、轟音や反動の衝撃で精神が緊張し射撃のみに集中してしまう状態、またはその状態にある人。軍隊などでは矯正の必要有り。






やぁ



みんな銃は好き?




オレは大好き



銃器ってあのフォルムからしてそそるよな


うんうん



ちゃんと的に当たった時は凄くうれしい


スコープにおさまりきらないくらいに大きな紅い花が咲いてるのを見るとゾクゾクするよな、わかる、わかるぜ




オレはある組織にガキの頃から身を置いている。
と言うか両親がもともとここで働いてて、オレが生まれてすぐどっちも仕事で死んだからふたりの上司みたいな人が代わりに育ててくれて、仕事場ってよりはある意味実家みたいな感じだよな。
文字通りのホーム。
なんつって

で、ここは普通の職場とはちがくて、ってまずオレここ以外の職場とか知らねえんだけどさ、なんかここは何て言うの?公にできないこと?とか色々やっててさ、オレがやってるのもそのうちのひとつ。
上から指定された人間の排除、公にバレなきゃ手段は問われないけどオレとかキャンティやコルン(どっちも本名じゃないよ!コードネームみたいな?何で有るかは知らねぇけど)はもっぱら狙撃を得意としている。
ふたりとは一緒に仕事をするわけじゃないけど、よく命中率とか手の鮮やかさとかで張り合ったり一緒にご飯とか行ったりする。
いいやつらだ
他にもけっこういるけど、それはまた追々話してやるよ。
面倒ってわけじゃないぞ決して。

世界中で活動しているオレたちだけど、自覚してる通りやってることは褒められたことじゃないから、しょっぴかれたり任務に失敗したりで下っ端や新入りの入れ替わりが凄まじい。

『おいハンター、こいつ新入りだから、顔会わせときな』

その日いつものようにキャンティが連れてきた新入りの一人らしい狙撃手は、オレの顔を見ると少し驚いた様子だった。
すぐに真顔に戻ったけど。
悪いなこんな若造がこんなところにいて
まぁここにいる時点でお前も同じ穴の狢ってやつなんだけどな

あ、ハンターってオレのコードネームな
イカすだろ?

てかこいつ髪の毛サラッサラじゃね?
ジンと良い勝負するわ
あ、ジンっていうのはオレたちの同僚のひとりで、オレたちよりちょっとだけ偉いシルバーのなっがいサラサラの髪の毛してる奴。
いつだったか内緒で三つ編みにしたらあとでめっちゃ怒ってきたから沸点はけっこう低めとみた。

なんのはなしだっけ


『諸星だ、よろしく頼む』


あぁ、モロホシくんのはなしだった。
そう言えば最近シェリー、あ、シェリーはオレと年近めの女の子なんだけど、その子の姉ちゃんが変な男引っかけてきたみたいな愚痴を聞いたんだけど、その男の名前がモロホシだった気がする。
え、こいつ?
どうだっけ、あとでシェリーに聞こう。


「おーよろしく!いい目してんなアンタ」

『……どうも』

オレの差し出した右手をおずおずと握り返したモロホシくん。
困惑まるわかりでちょーウケる。
この手の感じだと左利きか、珍しいな。

ふと興味が湧いてじっと覗いた翡翠のなかには、ここの奴らにしては珍しく光が見えた気がした

なんだかきれいだと思った
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