探偵たちと!
□原作に突入する
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それから数日後、俺たちは遊園地にいた。
【那前 in トロピカルランド】
携帯電話のもうひとつのお詫びとして、もし蘭ちゃんが今度の大会で優勝したら、このトロピカルランドに連れて行く約束をしてしまった新一。
スマートに案内するため下見に行くつもりだったが、一人で行くのはさすがに恥ずかしいらしく、俺がお供に選ばれた。
出来たばかりだというここは、聞き覚えも見覚えも有りすぎて一瞬吐きそうになった。
「何が悲しくて野郎ふたりで遊園地…」
『お、那前次あれ乗ってみようぜ』
「わかったから、そんな引っ張るなって」
瞳をキラキラさせた新一が袖をくいくいと引っ張る。
楽しいのはわかるが、そんなに引っ付かないでほしいな。
さっきからすれ違う団体のお姉さま方からの視線が痛いの、気づいているか新一。
あれぜってえ何か勘違いされてるって。
『あぁ?テンション低いな那前。楽しくねぇのか?』
「馬鹿野郎楽しいに決まってんだろうが」
『じゃあそんな顔してねーで楽しそうな顔しろっての!』
「おひ、こーあうひひあえうなっへ(おい、口角引き上げるなって)」
『へへ、何言ってるかわかんねーよ』
あぁ、さっきの団体から熱い視線を感じる…勘違いが加速している…
でも俺は、もしこのまま何も事件が起こらなければ、そんなこと別にどうでもいいなんだがな…
俺たちはそのあと滅茶苦茶遊園地をエンジョイした。
事件のじの字もなかった。
「めっちゃ楽しかったな新一…」
『だな…これなら蘭も絶対喜ぶぜ…』
帰路についてもまだ新一はキラキラした瞳をしている。
彼の収穫は多かったようだ。
『またふたりで行こうぜ!』
そのキラキラした瞳を前に、俺は何と返せばいいのかわからなかった。
言えるわけねぇわな、「お前ここで縮むんだぞ」なんて。
『那前って小さな男の子の趣味わかる?ちょっと教えてほしいんだけど…』
そういって蘭ちゃんにデパートまで呼び出されるのは、それからしばらく経ってからだった。