翠玉の彼女と赤い狙撃手
□え…。
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「あれ?蓮さん?」
ポアロのドアを開けようとしたら蘭ちゃんとガキンチョがいた。
「珍しいですね。ポアロになんて。あ、よろしければ一緒にどうですか?」
蘭ちゃんが笑顔で聞いてくる。
「ああ、そうだな……。お言葉に甘えようかな」
カランカランとポアロに入る。
席に座り、メニューを見る。
「2人とも決まったか?」と聞くと「決まった」と言うように頷いた。
「すみませーーん」
「はーーい」
梓さんが来たので、注文をする。
「僕はサンドイッチとアイスコーヒーで。」
「じゃあ私はフレンチトーストとブレンドティーで。コナンくんは?」
「僕も蘭姉ちゃんと一緒でいいよ。」
「以上で」と梓さんにいう。
梓さんがいなくなると、蘭ちゃんが身を少し乗り出し聞いてきた。
「そういえば蓮さん。彼氏さんがいたんですね!」
「は?」
「この前コナン君と蓮さんの家に行ったら男の人が出てきて『蓮なら寝ている。』って言ってましたよ。」
……え。
「そ、そいつなんか言ってたか?」
「え、ええ。『俺の彼女はあまり寝てないらしくてな。しかし君も蓮に連絡を入れてなかっただろう。責任は50:50さ。』って。やっぱり蓮さんの彼氏さん。イケメンですね!」
「あ、ああ」
チラッとガキンチョを見ると苦笑いしてた。
「たしか…赤井さんでしたっけ?」
「あ、アイツ名乗ったのか!?」
「ええ。『蓮の彼氏の赤井秀一だ』って確かに」
……馬鹿なの?
「お待たせいたしました。サンドイッチとアイスコーヒー、フレンチトーストとブレンドティーが2つずつですね。」
聞きなれない低い声。ふと声の主を見る。
「ゼロ兄ぃ?」
「え…?」
「蓮姉ちゃん。安室さんと知り合い??」
「安室……?」
「え、ええ。僕が安室ですが。」
「……そうか。すまん。他人の空似だった。忘れてくれ。」
ふと頭に兄と仲の良かった彼を思い出した。
「きっと、兄ぃが生きてたら……いや。」
ダメだなぁ。
「ああ。挨拶がちゃんとしてませんでした。最近ポアロでバイトとして雇われた安室透です。」
「便利屋の久世蓮だ。さっきはスマン。」
そう言うと、安室くんは「いえ。大丈夫ですよ」と笑った。
「さっきの話は…」
「ああ!蓮さんに赤井さんって彼氏がいたって話ですよ!」
「へぇー。じゃあ恋バナってやつですか?」
これ以上はいかんな。
「恋バナをしたいのは山々だが、生憎僕の彼氏の話はそんなにできん」
「えぇー。なんでですk」
「死んじゃったんだよ。」
ガキンチョが蘭ちゃんの台詞をかぶせてきた。
「え。」
「少し前に起きた来葉峠の爆発事故。アレで死んだのは僕の彼氏……赤井秀一だったのさ。」
「だから今はそんなにアイツの話をしたくないんだ。僕が弱くなる」と言うと、蘭ちゃんは「すみません。」と謝ってきてくれた。
「ああ。そうだ。ガキンチョ」
「ん?なぁに?」
「工藤邸に昴がいるなんて聞いてなかったんだが?」
「え…」
「蓮さん。昴さんと知り合いなんですか!?」
「ああ。高校時代の元カレだ。」
「え…」
絶句する蘭ちゃんとガキンチョ。
先日、有希子さんに連れられ工藤邸に行ったら赤井がいて驚いた。
そこで沖矢昴と久世蓮の設定を考えた。
「蓮さん。これ僕からのサービスです。」
コトッと置かれたのはキツネ色に焼けたふわふわそうなホットケーキ。
「次の恋のタメに貴女を置いて逝ったようなヤツが少しでもいなくなるように」
「あ、ああ。ありがとう。」
安室くんの作ったホットケーキは懐かしい味がした。
ポアロから出て少し離れたところで、電話をかける。
「アンジェ。早急に調べて欲しいことがあるんだ。“安室透”と言う男について。」