翠玉の彼女と赤い狙撃手
□彼女の帰還
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作戦通り、各自のバンに組織のメンバーが尾行している。
俺のところはベルモットか。
目立った行動をするように何台も車を抜かしていく。
「!?赤井さん!!」
ボウヤが声を上げた
「どうした?」
チラッとボウヤを見る。
「白いバイクの……木賊色の長い髪の人がベルモットのバイクを横から蹴った!!」
「なんだと…!?」
「一瞬でいなくなった…!?」
「なにものだったんだ…」
ふと、彼女…蓮の友達の泪の言った言葉を思い出した。
ーー「ええ。人は死ぬわ。でもね、怪物は…翠玉の隻眼を持つ怪物はね。死なないのよ。人間がいる限り、死なないのよ。」ーー
「いや…ありえない…。人は死ぬんだ。」
作戦が面白いほど進み、病院に戻りネタを明かす。
「それだったら私達にも教えてくれたっていいじゃない!」
「ヤツらがここを盗聴している恐れがあったからな。リアルな反応が欲しかったんだ。そr」
「それに、敵を騙すならまず味方から……でしょ?」
突然響いた高い声。
「泪!?なんでココに!?」
蓮の友達の泪がいた。
ジョディの驚いた言葉に泪はクスクス笑っていた。
「なんで…か。まさか一字一句同じ言葉を予想するなんて……。きっとシャーロック・ホームズもびっくりよ。」
感心したように言う。
ガラッとドアが開く。そこにいたのは、真っ白なライダースーツに白のヘルメットを持った
「泪さんが二人!?」
ボウヤが声を上げた。
「凄いわ。コナンくんのセリフまで予想するなんて!」
「なんでわかったの?蓮」と言った。
なに?
「簡単さ。少し予想すれば簡単にわかるさ。」
ライダースーツの泪が話す。
「まぁココまで筋書き通りになるとは思わなかったさ。」
ベリッと顔を剥がし黒髪のウィッグを外す。
すると、見慣れた彼女がいた。
しかし、少しの違和感……。ああ。そうか。
「蓮……お前……右眼は見えないんじゃないのか?」
「勝手に見えない設定にすんじゃねぇよ」
右眼は綺麗な黄金色で、眉の少し上から縦一本に走る切り傷。
「さて、そろそろちゃんと自己紹介をしましょう。壱城泪と言います。ジョディさん以外は、はじめまして。」
「え?」
「我々もあったじゃないか」
たしかに、ボウヤやジェイムズや俺と会ったはず。
「ああ。その泪は僕だ」
「あの時は別室に泪はいたよ」と言った。
そうか。俺らFBIは
「蓮の手のひらで踊らされてたのか。」
つい頭を抱えた。
蓮はケラケラと笑っていた。
「しかし、赤井。お前、見ないうちに顔色が悪くなったなぁ。僕がいなくなったぐらいで。まったく、世話が焼けるな。」
そう笑いながら、俺も頬を撫でた。
「『Oh, beware my Lord, of iealousie,
It is the greene-ey'd Monster, which doth mocke
The meate it feeds on.』」
「え?」
泪が言った言葉にボウヤは声を上げた。
「ウィリアム・シェイクスピアの作品のオセローさ。そして、翠玉の隻眼を持つ怪物のモデル。」
蓮がケラケラと笑っている。
「僕は死なない。人間がいる限り……人間が嫉妬する限りね。」
「でも、どうやって生きてたの?」
ジョディが蓮に聞く。
「ああ。僕にとってはとてつもなく簡単方法でね。」
「簡単?」
俺が蓮に聞き返した。
「ああ。死体は裏社会の墓も建てられない女の死体を利用した。ネックレスはコピー屋って奴に頼んで作ってもらった。一応手の指紋もコピー屋と闇医者の友人に頼んでね。あとは、まぁ僕の面白い能力かねぇ」
嘲笑に似た笑みを浮かべる。
「能力?」
ボウヤが聞いた。
「ああ。能力。僕が化け物で、怪物と言えるような能力」