BLEACH

□愛素る宣誓
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それから授業中に何度か一護と冬獅郎は
ぶつかり合いお互いに嫌味混じりにからかう。
それを生徒達は止めることなく笑いつつも
作業に取りかかっていた。



キーンコーンカーンコーン…
四十分経つと一限目の終わりの鐘が鳴る。

「おい、作業はそこまでだ。
HRなら帰りもあるし明日の三限目にもあるから
今終わらなくてもいいから挨拶!日直号令」

一護が"号令をかけてくれ日直"と言った瞬間
冬獅郎が聞こえないようにチッと舌打ちをし号令をかける
それに続き生徒達も号令通りに身を動かせさせる。

「………気をつけ、礼」
「「有難う御座いましたー!」」
「…おう、お疲れ様!
ああ、そうだ。日直この後すぐに職員室に来い」

号令をし終えて漸くゆっくり出来ると思っていた所に
一護が突撃呼び出しを喰らわせる。
それも日番谷とは言わずに敢えて"日直"と言って。
冬獅郎は不機嫌Maxオーラを出しながら文句を呟く。

「…チッ…仕事があるってのに…」
「あ?なんか言ったか?日番谷」
「…………なんもねえ」
「じゃあ、頼んだぜ!」

ガララ…ガシャン。

日直と言っていたのに何故急に変えやがったんだ
日直は日直で苛立つが…名前も名前で苛立つ。
いや、名前で呼ばれるのが苛立つんじゃねえ
時と場合を選んで呼んでいる所が苛立つんだッ!
あああ、何で職員室に行かねえとならねえんだ
こう見えても俺は色々と忙しいんだ
そもそも日直の人数がおかしい。
日直は大抵二人でやるものだろうが。
他のクラスは二人だというのに俺等のクラスは一人
ふざけてんのか?
仕事量これは一人でやる量ではないこと
てめぇにも分かるだろ…
…………はぁ、考えるだけで疲れる。
仕方ねえ、黙って行ってやるか…


冬獅郎は心のなかで色んな疑問点に目をやるも
頭がついていけず諦めて一護の居る職員室へと向かう



職員室に着いた冬獅郎は校長先生も居るため
念のため礼儀正しくしなければなと思い
制服が乱れてないかを確認する。
そして大丈夫だと確認し終えるとドアを開ける。

「…失礼します。…黒崎先生はいらっしゃいますか」
「お、来たか!こっちだ!」

冬獅郎がそう声をあげると一護がこっちと言い手を振る
それに冬獅郎はいつものような無愛想な表情で
スタスタと一護の方へ歩き近づいていく。

「んじゃあ……
全員分の日誌見れたから持って上がってくれ」
「……………はい」

いつもなら「は?」や「自分で持って上がれるだろ」
と言って言うことを聞かずに冷たい目をするはずも
今日は珍しく校長先生が出張せず同じフロアに居るため
嫌ながらも取り合えず言うことを聞く冬獅郎。

「あ、おい日番谷」

一護から全員分の日誌が入った篭を受け取ると
その場から立ち去ろうとしていた冬獅郎だが
そこを一護に呼び止められてしまう。

「…………なんだ…じゃねえ。なん、ですか」

普段使い慣れていない敬語を言い直しつつも使い
一護に呼び止められた為そう言いながら止まる。
すると一護が満面の笑みでこう言う。

「俺もどちみち次授業だから一緒に上がるぜ」




冬獅郎は嫌々ながらも職員室から一護と一緒に出ると
一護から距離をとるかのように離れて先々進む。
すると急に冬獅郎の腕に違和感が走る。
それは一護に腕を捕まれた感覚だった。

「……なんのつもりです、か」
「もういい。もういいんだ冬獅郎」
「…ッ……!」
「もう誰もいねえ。誰も居ねえ場所だからいいんだ。」

冬獅郎は最初は鋭い目付きで一護を睨んでいたものの
一護が"もういいんだ冬獅郎"と優しい顔で呟いた瞬間
顔つきが瞬時に緩くなり優しく切ない顔つきとなる。

「………一護ッ………」
「……やっぱ辛ェだろ。
皆の前では先生と生徒を演じなきゃならねえから」
「……けどそう決めたから仕方ねえんだ…」
「ああ…そうだな
俺も冬獅郎と恋人として居られるなら今のままでもいい」

そう。
二人の今の関係は本来は禁断の関係 恋人であった。
バレたらいけないことだが先生達だけでなく
生徒達にもバレてはいけない。
更に深刻に考えれば下手をすれば
先生と生徒達の信頼関係さえも奪いがちで先生として
居ることが出来なくなってしまうことが有り得るのだ。

それを何とか死守をしたいと冬獅郎は心の中で強く想い

出来るだけ二人きり以外のときは距離感をあけて
気を持っていないように見せかけるために素っ気なくして思いっきり反抗をもして
そして下の名前で呼びたくても呼ばないようにして
どうしても呼びたいときは後々先生がフォロー
出来やすい環境のときのみ下名前で呼ぶ。

冬獅郎はこの行い等を苦しみながらも実行してきた。
一護との恋が禁断だと分かっていたのだが
どうしても一護とは別れたくない冬獅郎は
この行為をすることを心に誓ったのだ。
この行為は別れることと比べられるほど辛くない。
だから俺は死守するためにこの行為をする。と
この行為の真意に一護は気づいていた。
その為一護もそれに答えようと合わせていた。


....
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