BLEACH

□絡まる想い
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「大丈夫なのかよ?俺と喋ってても」
「大丈夫よ、隊長は案外優しいもの」
「いやそうゆう事じゃねえよ…」
「あら、もしかしてあたしの仕事が時間内に
終わるか心配をしてくれてるの?」


二人の温かく和ましい会話が
十番隊中庭から聞こえてくる。
仲良くしている様子に安心するはずなのに
本当は嬉しいはずなのに

嬉しいはず、なのに…

どうしてこうも胸が痛むんだ。
喜んでもいいことなのに素直に喜べない。
痛いんだ。苦しいんだ。

何故…?
ああ、知らぬ内に恋に墜ちてたんだ。
だからこんなにも苦しいんだ。

意味もなく松本に妬いている。
俺らしくねえって分かりきっている。
そんなの判りきっているんだ。

なのに…

俺は松本よりもずっと…
ずっと傍に居たいと想ってしまっている
お前の笑顔が見たいとも想ってしまっている
いつか叶うと良いと思う。

だが
この想いは叶うことなんてないだろう。

あくまでも俺は十番隊長。
俺の想い人は"旅禍"だからな

だから今日も俺は


「お、冬獅郎!お前もこっち来いよ
乱菊さんが手作りのお菓子作ったってよ!」

「"冬獅郎"じゃねえ。"日番谷隊長"だ
それに松本の手作りは止めとけ」

何も考えてないフリをして喋りながら
二人が話している中庭へと近づく。


「え、なんでだよ?」
「そうですよ隊長〜。あたしが真心込めて作ったんですから
隊長もそう仰らず召し上がって下さいよ〜」
「真心込めたのは良いことだが
松本の料理は禍々しい霊圧らしきモンが…」
「んもぉ〜!隊長酷いですよ」


絡まる想いを抱きつつも気がないフリを演じ続けて
旅禍の傍に留まることとする。



END.

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