ハガレン

□危うい弟
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「今日の天候は荒れ模様となりそうです。
外に出るときは傘をもって出掛けましょう。
それでは明日の天気です。明日は晴れのち曇────」


プツン…

「……ちっ、今日は雨か」
「どうしたの?兄さん」
「…ああ、ちっと天気予報を観ていてな」
「そうなんだ!どうだった?」
「今日は荒れ模様だとさ。んなこと分からねえだろ」

テレビの天気予報に対して辛口のエド。
辛口のエドをアルが突っ込む。

「分かるから伝えてるんじゃないの?」
「 ・・・・・・・・ 」

言い返したくても言い返せないエド。
自分的には正論を述べたつもりだったのだが
更なる正論をアルに述べられて言葉を失ったのだ。

エドは不機嫌そうにソファーに寝転がり
テレビの方に背を向ける。
其処へアルが近づき声を掛ける。

「兄さん、今日はどうするの?」
「 ・・・・・・ 」
「……兄さん?」

アルがいくら声をかけてもエドの反応はない。
大丈夫かな?とアルは顔を覗きこもうとする。
も、丁度ソファーの背ごしに顔が密着しており
顔を見ることができない状態だった。
アルは身体を揺さぶり起こさせる。

かと思いきや錬成陣を書き始める。
錬成陣を書き終えて手をかざすと
ソファーが物質を発しながら薄くなっていく。
そしてついには姿を完全に無くす。
もちろん無くなってしまったわけだから
エドも浮けるわけでもなく凄い勢いで落ちる。

「…ってぇッ!?おい、アルッ、何をした!?」
「ん?何って錬成…だけど……」
「……あのなぁ!!
何の断りもなくいきなり錬成するなッ!
いくら俺が小さくて目に留まらない豆粒だとしても
ソファーで寝ていたことに変わりはねぇんだぞ!!」
「兄さん…そこまで言ってないよ…」

エドは更に不機嫌となり口を尖らせ
ぷいと顔をそらし更にはアルから距離をとる。

「に、兄さん…無言でソファーを消したのは
僕が悪かったよ…けど兄さんも兄さんで悪いよね!」
「なッ、アル…お前は反省してるのかしてないのかどっちだよ!?」
「してるよ!一応」
「ああ、もうお前とは話さねぇ!」
「あ、待ってよ兄さんッ」

エドはアルの言葉も聞かずにその場から立ち去る。
部屋にはアル一人取り残された。
アルはしゅんと落ち込む。
のかと思いきや、そんな素振りも見せず

「……ははは、やっぱ僕の兄さんは凄いや
兄さんの怒っている顔も全て愛しい…
一番好きなのは──


血 に 染 まっ た 兄さんだけどね 」


END.
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