BLEACH

□愛素る宣誓
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暑い夏を終えて夏に活躍していた虫達は姿を消し
今度は姿を消していた虫達が顔を出す。
その虫の代表が秋に相応しい虫─"アキアカネ"
数匹のアキアカネが翔んでいる背景にはヒラヒラと
赤や橙、中には薄黄と言った色の紅葉が散っている。
それをボーッと教室の窓から見つめている少年がいた。

「─という訳で朝のHRは終わりだ。
この後もHRだから教室残っとけよ〜」
「「はーい」」
「─よし、今日は珍しく全員聞いてたn…ん?」

先生はふと全員に目を配ると一人の少年に目がいく。
そう、窓の外を眺めている少年に目がいったのだ
これはまずいと察したクラスメートが
窓を眺めている少年にこそこそっと話しかける。

『おい、先生が見てんぞ冬獅郎』
「………………」
『冬獅郎ってば…』
「………………」

仲の良いクラスメートに声をかけてもらうも
全く気づかずに無言で窓を眺めている。
それを先生が許してくれるはずもなく…

冬獅郎ッ!!
うぁッ!?んだよ…大きい声出すんじゃねえ!」

物凄く大きな声で少年の名を呼び注意をする。
流石に少年も気付き大きく体をびくりと震わせるも
先生の方に振り向き反省せずに逆ギレする。
それが二人のいつもの劇場の始まりの合図であった。

「お前なぁッ!俺のHRまだ終わってねえんだから
窓ばっか見てねーでこっち見ろよ!!」
「何でテメーの顔見ないといけねえんだよ」
「先生をテメー呼ばわりするなと前も言っただろうが💢」
「じゃあ"一護"」
「名前も呼び捨てすんじゃねえ💢」
「………ちッ…」
「あ?今"ちッ"って…!?💢」
「俺はこう見えて忙しいんだ放っておいてくれ」
「なッ…ただたんに紅葉見てるだけだろうが💢」

二人のどうでもいい言い争いを生徒達は止めもせず
腹を抱えてゲラゲラと笑っている。
二人の関係を仲の良い先生と生徒だと生徒は思っている
が、本当のところそんな軽い関係ではなく……
実際は深くて重い、そして濃厚な関係なのである。



二人の言い争いは
SHRの終わりの鐘から十分間にも及んで続いて
一限目の始まりの鐘が鳴るのと同時にピタッと止まる。
そして一護がハッ!と我に帰り一度冬獅郎を睨み
咳払いをして教卓に足を運び着席しろと皆を座らせる

「ゴホン…一時間目はHRだ。
朝のSHRでは連絡事項を先生が話すのがメインだが
授業でのHRは違うことをする」
「せんせーボリボリ、HRって何するのー?ボリボリ」
「HRではクラスの親睦を深めるのがメインだ…って
草鹿ッ…平然とお菓子食うんじゃねえ!💢」
「えー…美味しいのにー…」
「そういう問題じゃねえよッ!!今すぐしまえ!」
「む…はーい………」
「全く…このクラスには問題児しか居ねぇのか?…」

一護はハァ…と大きく溜め息を吐きながら
教卓に顔を伏せてしまう。
そしてどんよ〜りとした重い空気が染み渡る。
生徒達は何とか一護を元気にしようと生徒会議を開くも

「どうすれば元気になるかなー…」
「大体あんたがお菓子食べるからよ、やちる」
「えーッ…そうなのかなぁ…?どう思う?剣ちゃん」
「俺に聞くんじゃねえ。アイツがメンタル弱ェだけだ」
「あら、あんたも中々酷いわね。
まあ確かに生徒に呼び捨てされたらムカつくけど…
冬獅郎に呼ばれるなんて最高じゃない」
「乱菊さん本当に冬獅郎君の事特別扱いだよね…」
「あら当たり前じゃない織姫。
冬獅郎は普段は無愛想で冷たいのに先生に対しては…」
「あー、分かった!お菓子あげる!」
「やちる…あんたって子は………」
「やめとけ、アイツに菓子は似合わねぇ」
「そうかな?お菓子でもお供えしとくと元気に…」
「やちるちゃん…御供は亡くなった人にするもの…」

とこのようにまともな案がひとつも出ずに
むしろ危ない方向にさえ行きかけているのだ。
すると偶々その話を聞いていた冬獅郎が窓から振り返り
席から立ち上がり一護の方へズカズカと歩寄る。

「…おい」
「………………」
「起きろっつってんだろうが一護

冬獅郎が一護のことを先生ではなく一護と囁いた瞬間
只の屍のように動かなかった体が頭がピクリと動く。
そして────

「一護って呼び捨てにするなと…
言ってんだろうがぁぁッ…!!💢
「…元気ならとっとと授業終わらせろ」
「…言われなくとも💢」

生徒達がどう考えてもいい案は浮かばなかったのに
冬獅郎はたった一つ言葉を囁いただけで
一護を甦らせてしまったのだ。(死んでないけど)
先程案を考えていたやちる、乱菊、織姫、剣八が
二人の様子に気づいてしまったのである。
アイツら只の関係じゃない」と………


....
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